民主社会党 (ドイツ)

左翼党-民主社会党（PDS）の歴史：東ドイツからドイツ再統一へ、そして左翼党へ

左翼党-民主社会党（PDS）は、ドイツ再統一という激動の時代を象徴する政党です。その起源は、旧東ドイツの支配政党であったドイツ社会主義統一党（SED）にまで遡ります。SEDはベルリンの壁崩壊後の民主化運動を受け、1989年12月、社会主義統一民主社会党（SED-PDS）へと改称。独裁的な綱領を改め、民主化への歩みを始めました。初代党議長にはグレゴール・ギジが就任しました。

その後、1990年2月には党名を民主社会党（PDS）へと改めて、東ドイツ初の自由選挙に臨みました。3月の選挙では16.1％の得票率を獲得し、66議席を獲得するも、キリスト教民主同盟(CDU)主導の連立政権には加われず、野党に転落しました。これは東ドイツ建国以来初の出来事でした。

同年、ドイツ再統一が実現しますが、PDSはシュタージ（東ドイツ国家保安省）疑惑などにも直面し、困難な状況に置かれました。同年12月のドイツ連邦議会選挙では、全ドイツレベルでは5％の議席獲得ラインを突破できませんでしたが、旧東ドイツ地域においては5％を超え、17議席を獲得するという結果を残しました。

統一後、PDSは党員数の激減という危機に直面しました。しかし、旧東ドイツ地域の経済不振に対する不満を代弁する形で、徐々に州議会や地方議会で議席を獲得していきました。1994年の連邦議会選挙では、ギジや新党首ロタール・ビスキー、さらに旧東ドイツの反体制活動家など、知名度の高い候補者を擁立し、30議席を獲得。党勢拡大に成功しました。

1998年の連邦議会選挙では、5.1％の得票率で5％の壁を突破し、36議席を獲得。メクレンブルク＝フォアポンメルン州では、SPDと連立政権を樹立し、州政府与党となりました。この成功を受けて、1999年の欧州議会選挙でも5％を超える得票率を獲得しました。

2000年代に入ると、ベルリン州でもSPDと連立政権に参加。しかし、ギジ党首の不祥事や、2002年の連邦議会選挙での敗北など、苦難の時期もありました。この選挙では5％ラインを下回り、議席は激減しました。

2003年の党大会では、SED時代の犯罪への反省と自己批判を表明。新たな綱領を採択しました。しかし、旧東ドイツ地域では高い支持率を維持する一方、旧西ドイツ地域での支持は低いままでした。

2005年、PDSはオスカー・ラフォンテーヌ率いる「労働と社会的公正のための選挙オルタナティブ（WASG）」と「左翼党」を結成。連邦議会選挙で8.7％の得票率を獲得し、54議席を獲得しました。この結果、PDSは事実上議会第4党となりました。その後、PDSとWASGは2007年に正式に合併し、「左翼党」が誕生しました。

PDSは、SED時代とは異なり、議会制民主主義に基づく政党でした。しかし、マルクス主義や共産主義を完全に放棄したわけではなく、民主主義的な社会主義を掲げていました。この路線は、ユーロコミュニズムに近いものと見なす見方もあります。また、人権やマイノリティへの施策にも積極的に取り組みました。

PDSの歴史は、東ドイツの民主化と再統一、そしてドイツの政治風景の変化を反映した、複雑で興味深いものです。旧SEDからの継承と決別、自己批判と社会主義への固執、そして新しい政党への合流というドラマチックな展開を経て、PDSは歴史の舞台から姿を消し、左翼党という新たな章へと歩を進めていきました。 その複雑な歴史は、現代ドイツ政治を理解する上で重要な鍵となるでしょう。

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