水野良太郎

水野良太郎：漫画家、イラストレーター、そして鉄道模型愛好家の生涯

水野良太郎（1936年6月7日-2018年10月30日）は、日本の漫画家、イラストレーター、エッセイストとして知られる人物です。鉄道模型愛好家としての顔も持ち、その多才ぶりは多方面に広がっていました。三重県四日市市生まれですが、東京都に本籍を置いていました。幼少期は四日市市と鈴鹿市、そして静岡県浜松市と転居を繰り返します。1955年に静岡県立浜松西高等学校を卒業後、武蔵野美術学校（現・武蔵野美術大学）に進学しました。

在学中の1953年には、すでに『アサヒグラフ』の4コマ漫画投稿欄に入選しており、漫画家としての才能を開花させています。1957年には朝日新聞ジュニア版で『アングリくん』の連載を開始。同年、武蔵野美術学校を中退し、プロの道へ進みます。その後、『漫画読本』などにも作品を発表し、本格的な漫画家としてのキャリアをスタートさせました。

1960年代には、広瀬正、伊藤典夫、豊田有恒、小鷹信光、片岡義男（テディ片岡）、しとうきねおらと共に「パロディ・ギャング」というユニットを結成し、精力的に活動しました。水野良太郎氏の活動は漫画にとどまりません。日本漫画家協会理事や千代田工科芸術専門学校講師を歴任するなど、教育・指導にも携わっていました。さらに、21世紀都市交通国民会議幹事や読売国際漫画大賞選考委員も務め、その高い評価と影響力を示しています。

イラストレーターとしての才能も高く評価され、『キャプテン・フューチャー』シリーズ全20巻（早川書房）のイラストや、光文社カッパ・ブックス『頭の体操』（多湖輝著）の全巻イラストを担当しました。これらの作品を通じて、多くの読者に親しまれ、その名を広く知らしめることとなりました。

水野良太郎氏の活動は、出版物に留まりません。2000年には『鉄道模型を愉しむ』2冊に対して日本写真作家協会選定図書特別賞を受賞するなど、鉄道模型に関する造詣の深さを見せつけました。また、旭化成ヘーベルハウスのイラストを担当し、2002年度読売新聞広告大賞 住宅部門最優秀賞を受賞するなど、その才能は多方面で開花しました。

2005年にはパーキンソン病を発症。2010年に産経新聞で公表されましたが、病と闘いながらも、ウェブサイト開設や著書の刊行など精力的な活動を2010年代半ばまで続けました。晩年はプロ野球横浜DeNAベイスターズの熱心なファンでもありました。

その多彩な活動は、漫画、イラストレーション、エッセイ、モデリングと多岐に渡り、それぞれの分野で高い評価を得ています。数々の賞を受賞し、多くの書籍を執筆・翻訳、また編集にも携わってきました。1962年にはイタリア・ボルディゲラ国際マンガサロンでネオテクニカ賞、1964年には同サロンのテーマ部門（オリンピック）で金賞を受賞するなど、国際的にもその才能を認められました。

2018年10月30日、肺炎膿胸のため東京都練馬区の病院で逝去。82歳でした。水野良太郎氏の功績は、日本の漫画界、イラストレーション界、そして鉄道模型界に大きな足跡を残しました。彼の多才さと情熱は、後世に語り継がれるべき貴重な遺産と言えるでしょう。

主な著書

単著として『ドンと行けヨーロッパ マンガ家見て歩き』『鉄道てつどう』『フランス語がスキになる本』『そんなにパリへ行きたいか もうひとつの雑学情報《饒舌版》』『鉄道模型入門 作るポイント・楽しむコツ』『退屈しのぎの本 時間を忘れる』『漫画文化の内幕』『鉄道模型を愉しむ 総合編』『鉄道模型を愉しむ 実践・応用編』など多数。編著・共著、翻訳作品も数多く手がけています。これらの作品は、彼の多様な興味と才能を反映したものです。水野良太郎氏の残した作品群は、これからも多くの読者、そしてクリエイター達にインスピレーションを与え続けるでしょう。

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