江下武二

江下武二（えした たけじ）

江下武二（1910年11月22日 - 1932年2月22日）は、大日本帝国陸軍の軍人であり、最終階級は工兵伍長でした。佐賀県神埼郡蓮池村（現在の佐賀市蓮池町）出身で、第一次上海事変における「爆弾三勇士」の一人として知られています。

生涯

江下武二は、親の事業の失敗により、幼少期から炭鉱を転々としながら生活しました。一家は軍人一家であり、父と2人の兄も久留米歩兵連隊に入営していました。武二自身は海軍を志望していましたが、1931年（昭和6年）に父や兄と同様に久留米工兵第18連隊に入営しました。

翌年、混成旅団工兵中隊に編入され、陸軍一等兵として第一次上海事変に出征。「廟行鎮の戦い」において、北川丞、作江伊之助と共に、中国軍陣地の鉄条網を破壊筒で爆破する決死の任務に当たりました。この作戦で3人は爆死し、軍は彼らを「爆弾三勇士」として英雄的に扱いました。江下は死後、二階級特進し、伍長に進級しました。

爆死に至った経緯については、決死の突撃、事故、上官の命令など諸説ありますが、軍部は彼らの死を愛国美談として喧伝しました。新聞が大きく報道したこともあり、彼らを題材とした芝居や映画が制作されるなど、社会現象を巻き起こしました。

顕彰

江下の死後、地元住民の寄付により蓮池公園に銅像が建てられました。しかし、第二次世界大戦の戦局悪化に伴い、金属供出のため銅像は撤去されました。幸い、原型の石膏像が残されており、寄贈を受けた陸上自衛隊目達原駐屯地が復元し、広報資料館で展示しています。また、公園に残された台座は、蓮池藩主・鍋島直與（雲叟）の歌碑に転用されています。

地元以外では、貴族院議員・金杉英五郎が委員長を務める「肉弾三勇士銅像建設会」によって、東京都港区の青松寺に3人が破壊筒を抱えて突撃する様子を再現した銅像が設置されました。しかし、この銅像も戦後に撤去され、後に江下の部分のみが新たな台座とともに安置されています。その他、山川招魂社に「爆弾三勇士」の碑、陸上自衛隊久留米駐屯地に肉弾三勇士のジオラマ、東京靖国神社にレリーフなどが存在します。

参考文献

護国業書『爆弾三勇士』軍事教育刊行会、1932年4月10日発行

関連項目

生方一平 - 新興キネマ製作の映画『肉弾三勇士』で江下を演じた人物。
佐分利信 - 日活製作の映画『誉れもたかし 爆弾三勇士』で江下を演じた人物。
爆弾三勇士の歌 - 与謝野鉄幹作詞、辻順治作曲の楽曲（ポリドール・レコード）。

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