江馬輝盛

江馬輝盛の生涯

江馬輝盛（えま てるもり）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した飛騨国の武将です。彼は飛騨高原の諏訪城を治め、江馬氏の一族に属していました。輝盛の生年についてはさまざまな説があり、天文4年（1535年）あるいは天文17年（1548年）に生まれたとされています。彼の父親は江馬時盛ではないかと言われているものの、この説には異論も存在します。輝盛の名前に使われた「輝」という文字は、室町幕府の13代将軍、足利義輝から偏諱を受けたものとされています。

江馬氏が飛騨国の国人として活動していた時代、地域の勢力は越後の上杉謙信と甲斐の武田信玄との間で繰り広げられた川中島の戦いを通じて紛争が激化していました。輝盛は永禄7年（1564年）、三木嗣頼や自綱とともに上杉方に属するようになりましたが、一方で時盛は武田氏との連携を強化し、輝盛や三木氏に対して優位に立ちました。この背景から、輝盛は武田氏に従うことを決めます。

同年、武田氏による越中国侵攻に参加し、椎名氏に対する攻撃において戦功をあげました。その結果、越中新川郡の中地山城が輝盛に与えられました。しかし、その後、椎名康胤も武田氏に降伏しましたが、康胤は元亀2年（1571年）の松倉城の戦いで上杉謙信に敗れ、結局江馬氏と上杉氏は所領が接触することになりました。

元亀4年（1573年）4月、武田信玄が死去すると、輝盛は家臣の河上富信を通じて上杉氏にその死を知らせます。しかし、書状では上杉氏に対して謝意を示し、武田氏との二重属状態を維持したようです。この後、天正3年（1575年）6月にも再び上杉氏に謝意を示しますが、翌年の天正4年（1576年）には上杉謙信の飛騨討伐に直面し、輝盛は三木氏とともに降伏することとなります。

その後、天正6年（1578年）7月16日には、父の時盛による思惑から、家臣の弟の江馬信盛を後継者に据えようとする時盛を殺害しました。これは家族内の権力闘争を象徴する出来事です。天正10年（1582年）には、甲州征伐によって武田氏が滅亡し、輝盛は織田信長の配下に入ることとなります。

しかし、その年の6月に発生した本能寺の変により信長が亡くなると、輝盛は三木自綱との間で飛騨の覇権を巡って争いましたが、八日町の戦いで敗れ、討死を遂げました。その際、高原諏訪城も陥落します。歴史的には、輝盛は48歳で命を落としたと伝えられています。

彼の死後、家臣たちは輝盛の後を追って自害し、大坂峠で埋葬されました。この場所は現在「十三墓峠」と呼ばれ、十三士の碑が建立されています。また、後継者として時政の活動が根拠ある資料からも確認されています。江馬輝盛の生涯は、戦国時代の動乱の中で多くの葛藤と軍事的活動によって彩られた、興味深い歴史を物語るものとなっています。

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