沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律について

「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」（以下、沖縄復帰特別措置法または沖特法）は、沖縄県が本土に復帰するにあたり、日本の諸制度を円滑に適用するために制定された法律です。この法律は、沖縄が長期間アメリカ合衆国の施政権下に置かれていたため、本土の制度との間に大きな違いが存在した状況に対応するために設けられました。

法律の目的

沖縄は、第二次世界大戦後、25年以上にわたりアメリカの統治下にありました。その間、沖縄には独自の制度が形成され、本土の制度とは大きな隔たりがありました。そのため、沖縄が本土に復帰した際に、直ちに本土の制度を適用すると、沖縄の社会や経済に急激な変化が生じ、県民に大きな混乱をもたらす可能性がありました。そこで、沖縄復帰特別措置法は、県民の生活の安定に配慮しつつ、段階的に本土の制度へと移行していくための特別な措置を講じることを目的として制定されました。

法律の構成

沖縄復帰特別措置法は、以下の章で構成されています。

第1章：総則（法律の目的や定義などを規定）
第2章：沖縄県（沖縄県の組織や権限に関する規定）
第3章：沖縄県の市町村（市町村の組織や権限に関する規定）
第4章：裁判の効力の承継等
第1節：民事関係（民事裁判の効力や手続きに関する規定）
第2節：刑事関係（刑事裁判の効力や手続きに関する規定）
第5章：琉球政府等の権利義務の承継等（琉球政府やその関連機関の権利義務の承継に関する規定）
第6章：法人の権利義務の承継等（法人の権利義務の承継に関する規定）
第7章：通貨の交換等（通貨の交換や取り扱いに関する規定）
第8章：法令の適用に関する特別措置
第1節：通則（法令の適用に関する基本原則）
第2節～第13節：各省庁関係（各省庁の管轄する法令に関する特別措置）
総理府、法務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省
第9章：雑則（その他の規定）
附則（施行期日や経過措置に関する規定）

主な内容

この法律は、広範囲にわたる分野で特別措置を定めています。その主な内容は以下の通りです。

裁判の効力の承継: 沖縄における裁判の効力を本土に引き継ぐための規定。
琉球政府等の権利義務の承継: 琉球政府やその関連機関が有していた権利義務を、日本政府や関連機関が引き継ぐための規定。
法人の権利義務の承継: 沖縄に存在した法人の権利義務を、本土の法人に引き継ぐための規定。
通貨の交換: 沖縄で使用されていた通貨を日本円に交換するための規定。
法令の適用に関する特別措置: 各省庁の管轄する法令について、沖縄の状況に配慮した適用を行うための規定。具体的には、税制、教育、福祉、産業、運輸、通信、労働、建設、自治など、多岐にわたる分野で特別措置が設けられました。

主要改正履歴

沖縄復帰特別措置法は、制定後、数回にわたり改正されています。

1971年（昭和46年）12月31日：公布
1977年（昭和52年）5月13日：第1次改正
内国消費税および関税等の特例の延長。
1987年（昭和62年）3月31日：第2次改正
国税関係法令の適用の特例措置のうち、一部の内国消費税および関税に関する特例措置の適用期限を延長。食糧管理法に関する特例等を削除。

関連する法令

同様の法律として、第二次世界大戦によりアメリカ合衆国統治下となり、本土復帰した地域で施行されたものとして以下があります。

鹿児島県大島郡十島村の区域に適用されるべき法令の暫定措置に関する政令（昭和26年政令第380号）
奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律（昭和28年法律第267号）
小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律（昭和43年法律第83号）

まとめ

沖縄復帰特別措置法は、沖縄が本土に復帰するにあたり、社会や経済の混乱を避け、円滑な移行を促進するために非常に重要な役割を果たしました。この法律によって、沖縄県民は安定した生活を送ることができ、日本全体としての一体化が円滑に進められました。

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律