河合尚市

河合尚市（かわい しょういち）

1954年10月4日、静岡県浜松市に生まれた河合尚市は、日本の著名な指揮者であり、教育者としてもその名を馳せています。尚美学園大学の名誉教授として、後進の指導にも尽力しています。

学びと研鑽

静岡県立浜松北高等学校を経て、東京藝術大学を卒業した河合は、幼少期から音楽の才能を開花させました。ピアノを有賀喜見子、太田みち子に、打楽器を有賀誠門、高橋美智子に師事。さらに、邦楽打楽器を堅田啓輝、長唄三味線を杉浦弘和から学びました。和声法、対位法、管弦楽法を細矢禊に、そして指揮法を遠藤雅古、村方千之、山田一雄といった巨匠たちに師事し、幅広い音楽的知識と高い指揮技術を習得しました。

多彩な共演歴

河合の指揮者としてのキャリアは、多岐にわたるジャンルと団体との共演によって彩られています。藤原歌劇団、劇団四季（ミュージカル『オペラ座の怪人』日本初演を含む161公演、『ウエストサイド物語』70公演）、東京混声合唱団などの歌劇団や合唱団をはじめ、札幌交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団、東京交響楽団など、日本を代表するオーケストラとの共演も多数。また、バレエ団との共演も多く、日本バレエ協会、松山バレエ団、谷桃子バレエ団など、数々の舞台芸術作品を支えてきました。他にも、東京吹奏楽団、新ヴィヴァルディ合奏団、日本音楽集団、アロージャズオーケストラ、宮間利之ニューハード、ザ・ブルーコーツオーケストラなど、様々な音楽団体との共演を通じて、ジャンルを超えた音楽表現を追求しています。

主な公演と音楽活動

河合の指揮者としての活動は、数々の重要な公演を成功に導いてきました。1988年には、劇団四季創立35周年記念公演として行われたミュージカル『オペラ座の怪人』の日本初演で指揮者を務め、1989年の再演でも指揮を担当しました。1995年と1998年には、ザルツブルクとブダペストで開催された「国際親善協会ジャパン・ウィーク」合唱フェスティバルで音楽監督を務めました。2001年には、「浜松市市制90周年記念公演」の音楽監督も担当。2013年には、冨田勲の『イーハトーヴ交響曲』の再演ツアーにおいて、冨田氏の推薦により指揮者を務め、各地で大成功を収めました。この東京公演の模様はブルーレイディスクとしても発売されています。2015年には、北京での同作品公演で、現地のオーケストラを指揮し、日中友好にも貢献しました。

2017年、「川越市合唱連盟35周年記念演奏会」の音楽監督、2019年《冨田勲という宇宙》～80人のオーケストラ、100人のコーラスによる演奏とサラウンド音響による超立体音楽会～（埼玉県ウェスタ川越大ホールにて）の指揮を担当。また、1995年から2022年まで、松山バレエ団のオーケストラ付き全公演を指揮。2022年から2024年にかけては、ミュージカル＆映画音楽《ドリーム・キャラバン》の公演を指揮するなど、その活動は常に注目を集めています。

教育分野での貢献

河合は教育者としても、長年にわたり多くの人材を育成してきました。1994年から2010年まで、ジュニアオーケストラ浜松の音楽監督を務め、若い才能の育成に尽力。2005年から2020年まで、尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科および大学院芸術情報研究科音楽表現専攻で准教授、教授を歴任。2020年からは、尚美学園大学名誉教授として、引き続き後進の指導にあたっています。

作曲・編曲活動

河合は、指揮者としての活動に加え、作曲家、編曲家としても才能を発揮しています。1978年には、早稲田大学応援部からの委嘱により、早稲田大学校歌の吹奏楽版編曲を手がけました。1996年には、浜松市市制85周年記念ミュージカル『五月生まれ』の脚本、作詞、作曲、音楽監督、指揮を担当。2003年には、学校法人仁敬学園カトレア幼稚園の第二園歌『かがやくあさひのように』を作曲。2005年には、埼玉県立戸田翔陽高等学校の校歌を作詞・作曲しました。2017年には、G.ホルストの吹奏楽のための2つの組曲を管弦楽用に編曲するなど、幅広い創作活動を展開しています。

受賞歴とリリース作品

1998年には、「第4回浜松ゆかりの芸術家顕彰」を受賞。また、熊川哲也Kバレエカンパニー『Rhapsody』（DVD、2005年）や、冨田勲『イーハトーヴ交響曲』（ブルーレイディスク、2014年）など、河合が指揮を務めた公演の模様は、映像作品としてもリリースされています。

河合尚市の音楽への情熱と、その多岐にわたる活動は、日本の音楽界において重要な存在となっています。

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