河橋・邙山の戦い

河橋・邙山の戦い

河橋・邙山の戦い（かきょう・ぼうざんのたたかい）は、中国の南北朝時代に発生した重要な戦闘です。この戦いは、538年7月から8月にかけて行われ、東魏と西魏という二大勢力が衝突しました。戦場は現代の河南省に位置する河橋と邙山で展開されました。

戦闘の背景

538年7月、東魏の将軍である侯景や高昂が西魏の独孤信を洛陽の金墉城に包囲しました。これを受けて、東魏の高歓は大軍を動員し、包囲を強化しようとしました。侯景は、周囲の官庁や民家を焼き払い、厳しい圧力を西魏側にかけました。当初、西魏の文帝は洛陽の園陵へ向かう予定でしたが、独孤信からの急報により、文帝は宇文泰と共に東へと向かうこととなります。

戦闘の展開

8月に入ると、宇文泰が穀城に到着し、侯景らはその迎撃体制を整えましたが、東魏側でも莫多婁貸文が無断で先行し、彼らの軍と接触しました。李弼や達奚武が先鋒を務め、東魏軍を撃退しましたが、侯景はすぐに洛陽の包囲を解き、南北に分かれて撤退することとなりました。

河上での戦闘では、宇文泰が指揮する西魏軍が敵を追撃し、両軍は激しい戦闘を繰り広げました。宇文泰は流れ矢を受けて落馬しますが、李穆に助けられ、戦線が持ち直します。全体としては西魏が勝利し、東魏軍を退けましたが、高昂は孤立し、最終的には戦死する結果となりました。

この戦闘では、東魏軍に約1万の死者が出て、捕虜となった兵士は1万5千人に上ったとされています。さらに、この戦いは霧に覆われて視界が悪く、両軍の動きが判然としない状態で数十回の交戦が続きました。西魏は独孤信と李遠が指揮した右側に配置した兵力が敗北し、戦局が混迷を深めました。

戦後の影響

戦闘後、西魏の王思政は長槊を持って戦い続け、重傷を負いながらも忠義を尽くしました。その後、宇文泰は王思政を恒農に駐屯させ、戦力を整えました。対する東魏の高歓は、大軍を率いて進軍しましたが、既に西魏軍は撤退していたため、金墉城を攻撃することができませんでした。

この戦いの結果、西魏は黄河以北の多くの土地を失い、関中では内乱が発生しました。そして、この戦闘が及ぼした影響は長期的なものであり、結局はロ大半の地域を東魏に奪われる事態を招きました。東魏の勝利は、彼らにとっての全勝とまでは言えず、多くの将軍の戦死者を出した事実は、戦争の厳しい現実を物語っています。

参考文献

この戦いについての詳細は『資治通鑑』や『北斉書』、『周書』、『北史』など、古典文献において確認することができます。

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