李遠

李遠の生涯と業績

李遠（り えん、507年 - 557年）は、北魏末から北周にかけて活動した著名な軍人であり、西魏の十二大将軍の一人として多くの戦歴を残しました。彼の字は万歳で、出身は隴西郡成紀県にある李氏の名門とされていましたが、近年の考古学的な発見により、実際には鮮卑族の拓跋に由来することが確認されています。彼の家族には兄の李賢、弟の李穆がいました。

幼少期と初期の活動

李遠は李文保の子として生まれ、幼い頃から戦闘に対する興味を示していました。彼は早くも周囲から「将軍になるべき非凡な人物」と評され、地方の若者を率いる才能を示しました。成長するに伴い、彼は戦記などを通じて学問を志しましたが、深い理解には至らなかったようです。

524年、勅勒の胡琛による反乱が原州に迫ると、李遠は兄弟と共に地元の人々を集めて防衛に努めましたが、外部からの援助もなく城は陥落。兄弟は一時的に匿われて難を逃れ、李遠は兄を説得して、都の洛陽を目指すことに決めました。すると北魏の朝廷から武騎常侍に任命され、すぐに別将としても活躍を始めることとなります。

軍人としての成長

530年には、爾朱天光の西征に際して李遠は道案内を務め、伏波将軍や郡太守として任命されます。また、反乱軍との戦闘においても重要な役割を果たしました。その後、宇文泰に出会い、彼の信任を得たことが彼のキャリアに大いに寄与しました。

534年、孝武帝の関中入国時に李遠は主衣都統として重用され、さらには安定県伯にも封じられました。彼の努力は続き、535年には文帝の昇殿に付き添うことになり、その名声はますます高まりました。

重要な戦役とその後

537年、宋の東魏に対する攻撃に参加し、しばしば指揮官として活躍しました。特に、沙苑の戦いでは顕著な成果を挙げ、車騎大将軍の位を授けられ、陽平郡公に封じられるまでになりました。

538年には洛陽で包囲されるも宇文泰の救援により脱出し、さらに河橋・邙山の戦いでも活躍しました。その後、河東郡太守として任命され、反乱の鎮圧にも貢献しました。

543年、東魏の高仲密が西魏に帰順を求めると、李遠は前軍を率いてこれを支持。戦局が厳しい中でも彼は退却を整然と行い、指揮官としての能力をさらに証明しました。彼はその後も多くの軍事任務を歴任し、段韶との戦闘などでの活躍を重ねます。

政治的な影響と最期

彼の活躍は軍事のみならず、政治の場にも及びました。宇文泰が後嗣について悩んでいる際、李遠は自らの意見を述べる勇気ある行動をとりましたが、やがて宇文泰の側近として重用されるようになります。

556年には、六官が創設されると小司寇に任命され、557年に北周が建国されると柱国大将軍としてさらに名声を高めました。しかし、その後、李遠と彼の子が宇文護により政権から排除され、彼は自殺を強要されて亡くなります。享年51歳でした。

死後の評価

彼の死後、宇文護が処断された際に李遠の名誉が回復され、彼に対する評価は見直されるに至ります。581年の隋の建国時には、謚号が改められ追贈され、歴史に名を残す存在となりました。李遠の生涯は、戦場での功績と、波乱万丈な政治の世界における活躍によって彩られています。

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