沼垂駅

沼垂駅（ぬったりえき）

沼垂駅は、かつて新潟県新潟市中央区沼垂東六丁目に位置していた、日本貨物鉄道（JR貨物）信越本線（貨物支線）の貨物駅でした。

駅概要

ENEOS新潟事業所（旧・新日本石油加工新潟工場）の西側に位置する地上駅で、末期には小さな操車場が残るのみとなっていました。2004年頃までは、新日本石油加工新潟工場へ至る専用線が分岐し、根岸駅から石油類が到着していました。また、濃硫酸の到着もあり、駅構内でタンク車からタンクローリーへの詰め替え作業が行われていました。

ENEOS新潟事業所は、1999年4月までは新潟製油所として石油精製を行っていました。そのため、沼垂駅からは甲信越地方や東北地方へ向けて石油輸送が行われていましたが、石油精製終了に伴い1998年10月3日のダイヤ改正までに全廃されました。新潟貨物ターミナル駅が開業する1990年までは、新潟県一帯の鉄道貨物輸送の拠点駅として機能し、複数のコンテナホームが設置されていました。

歴史

沼垂駅は1897年、直江津 - 新潟間の開業を目指していた私鉄、北越鉄道の終着駅として開設されました。当時は旅客扱いが主でした。

駅が設置された当時、所在地の信濃川右岸は中蒲原郡沼垂町であり、新潟県庁のある信濃川左岸とは距離的に離れていたことが問題視されました。当初、信濃川を挟んで西側の新潟市と東側の沼垂町は、鉄道の敷設を巡り激しい誘致合戦を繰り広げましたが、当時の信濃川の川幅は約1kmと広く、鉄橋建設に莫大な費用がかかることがネックとなりました。そこで、信濃川右岸の萬代橋付近にある沼垂町流作場（現在の中央区万代・弁天）に「新潟駅」を設けるという折衷案で合意しました。しかし、北越鉄道は地代が高いことを理由にこれを事実上拒否し、沼垂駅を終着駅としました。

これに対し、新潟市側では反対運動が起こり、政府の認可が下りたことで紛糾を極めました。市側の「鉄道同志会」の構成員の一部が行動を過激化させ、沼垂駅を評価する人を襲撃する騒ぎを起こしました。さらに、同年11月16日の鉄道開業予定日を控えた11月11日の早朝、沼垂駅構内の機関庫と貨物庫、新栗ノ木川の鉄橋に爆弾を仕掛け爆破するという騒動にまで発展しました。幸い損害は軽微で済み、開業は4日遅れただけで、運行等に大きな支障はありませんでした。

その後も新潟市民の鉄道誘致運動が続き、北越鉄道は沼垂駅から西に大きくカーブさせる形で線路を延長し、1904年に新潟駅（初代）を開業させ、問題は収束しました。

国有化後は信越本線の駅となり、沼垂地区の旅客駅として、また港湾・工場地帯への通勤駅として利用されましたが、1958年に新潟駅が現在の位置に移転した際に旅客営業を廃止し、貨物駅となりました。

線路は新潟港（西港）中央埠頭方面へも伸びていましたが、1986年に廃止されています。かつては上沼垂信号場からまっすぐレールが伸びていましたが、信越本線・白新線がそれぞれ複線化されるなど、規模の縮小により東へ曲がる形となっていました。

年表

1897年11月20日：北越鉄道線一ノ木戸 - 沼垂間開通時に開業。一般駅。
1900年3月11日：電報取扱開始。
1904年5月3日：北越鉄道線が旧・新潟駅まで延伸。
1907年8月1日：北越鉄道が国有化、帝国鉄道庁の駅となる。
1942年4月1日：新潟港駅までの貨物支線が開業。
1958年4月29日：新潟駅が上沼垂 - 万代間の貨物支線上に移転、旧・新潟駅までの旧線は廃線。旅客営業を廃止し、貨物駅となる。
1964年10月1日：小荷物の取扱を開始。
1967年7月1日：自動車輸送基地完成、3日から積み降ろし開始。
1968年10月1日：小荷物の取扱を廃止。
1985年3月14日：大阪貨物ターミナル - 当駅間に初のコンテナ枠買い切り列車運転開始。
1986年10月20日：新潟港までの貨物支線廃止、終端駅となる。
1987年4月1日：国鉄分割民営化によりJR貨物の駅となる。
1987年7月31日：大阪貨物ターミナル - 当駅間でピギーバック輸送開始。
1989年6月22日：東京へのピギーバック輸送開始、運行開始セレモニー挙行。
1990年3月10日：貨物取扱業務の大半を新潟貨物ターミナル駅へ移管。
2008年3月15日：ダイヤ改正により、貨物列車の設定廃止。末期は機関車のみの錆取り列車となっていた。
2010年3月25日：上沼垂信号場 - 当駅間の運輸営業廃止に伴い廃駅となる。

鉄道唱歌

鉄道唱歌北陸編では、大和田建樹が上野駅から沼垂駅を目指して出発し、42番に沼垂駅が登場します。その後、佐渡に立ち寄り、直江津に戻り、直江津から渡船で富山の伏木を目指します。

もみぢは新津秋葉山 櫻は龜田通心寺 わするな手荷物傘鞄 はやこゝなるぞ沼垂は

隣の駅

日本貨物鉄道（JR貨物）
信越本線貨物支線：上沼垂信号場 - 沼垂駅
日本国有鉄道
信越本線貨物支線（1986年廃止区間）：沼垂駅 - 新潟港駅
信越本線（旧線）：沼垂駅 - （旧）新潟駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
新潟市立万代高等学校・新潟市立明鏡高等学校 - 沼垂駅跡地に建設された。

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