法界院

金剛山 遍照寺 法界院

法界院は、岡山県岡山市北区に位置する真言宗の単立寺院です。金剛山という山号をもち、正式には金剛山 遍照寺 法界院と称します。本尊は慈悲深い聖観世音菩薩で、中国三十三観音霊場第五番札所、百八観音霊場第七番札所としても知られています。

歴史

法界院の創建は古く、伝承によれば奈良時代の天平元年（729年）頃、報恩大師によって備前四十八ヶ寺の一つとして開かれたとされています。創建当初は西谷山 妙塔寺と号し、現在の場所より北方の笠井山の山麓に位置し、壮大な伽藍を誇っていたと伝えられています。

しかし、戦国時代の戦火によって伽藍は焼失。その後、天正9年（1581年）に現在の地に移転しました。江戸時代初期には、伝審和尚が中興に尽力し、伽藍を整備。岡山藩主池田家の崇敬も受けました。現在の本堂は、江戸時代末期の安政2年（1855年）に建立されたものです。山門は、嘉永年間（1848年 - 1854年）の建築とされています。

江戸時代の法界院は、「火事が年忌を問う」と言われるほど、約100年ごとに火災に見舞われました。江戸期最後の大火は文久年間（1861年 - 1864年）に起こり、山門と中門を残して全てが焼失しましたが、その後間もなく再建されました。

また、JR津山線の法界院駅は、当寺院が駅名の由来となっています。

文化財

法界院には、貴重な文化財が所蔵されています。

木造聖観世音菩薩立像（重要文化財）

檜の一木造りで、聖徳太子の作と伝えられていますが、実際には平安時代中期の作品と考えられています。像高は103.7センチメートル。脇仏として多聞天・持国天像があり、共に聖観音と同時代の作と言われています。秘仏とされ、33年に1度開帳されます。明治34年（1901年）8月2日に指定されました。

道讃禅定門石灯篭（岡山市指定重要文化財）

慶長3年（1598年）の銘が刻まれています。高さは222センチメートルで、豊島産凝灰岩の石灯籠です。

札所

中国三十三観音霊場

4 木山寺 5 法界院 6 蓮台寺

法界院は、長い歴史の中で多くの困難を乗り越え、地域の信仰を集めてきた寺院です。貴重な文化財とともに、その歴史と信仰の深さを感じることができるでしょう。

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