洞爺村

洞爺村：洞爺湖畔の静かな歴史と開発の跡

はじめに

北海道南西部、支笏洞爺国立公園に位置していた洞爺村は、2006年に虻田町と合併し、洞爺湖町となりました。本稿では、合併前の洞爺村の地理、歴史、産業、文化、そして行政について、詳細にわたって記述します。

1. 地理

洞爺村は、特別豪雪地帯に指定されており、北海道道央地域南部に位置していました。村のほとんどが支笏洞爺国立公園内にあり、一部は国立公園法による特別地域に指定されていました。洞爺湖北岸沿いの南斜面は美しい湖水を望み、北側には羊蹄山麓まで広がる農耕地が広がっていました。

村名は、アイヌ語の「トヤ」（湖水の陸岸）に由来します。この「トヤ」は、洞爺村洞爺町周辺を指し、古くから「向洞爺」という呼び名も用いられていました。気候は内浦湾の影響で春先は不安定ですが、晩秋は穏やかです。夏は札幌と似た大陸性気候ですが、洞爺湖の影響で適度な湿度があり、農業に適した環境でした。観光地としては、対岸の虻田町や壮瞥町ほど発達していませんでした。


2. 歴史

明治20年代から40年代にかけて、多くの開拓者が村へ入植しました。

1887年（明治20年）：香川県出身の三橋正之ら22戸76名が移住し、大原地区に「洞爺村」が開基されました。
1889年（明治22年）：第2次移住民80数戸が湖岸に移住し、香川地区の開拓が始まりました。
1905年（明治38年）：林竹太郎が旭浦地区に孤児院を建設し、濃尾地震の孤児を受け入れました。洞爺郵便局も設置されました。
1907年（明治40年）：富岡地区の開拓が始まり、日露戦争勝利を記念して、湖畔33ヶ所に観音堂が建てられました。
1908年（明治41年）：洞爺初の動力船「金湖丸」が就航し、公共交通が開通しました。
1918年（大正7年）：洞爺湖漁業協同組合が設立されました。
1920年（大正9年）：虻田村（現在の洞爺湖町）から分村し、独立した「洞爺村」となりました（人口約3,220人）。
1923年（大正12年）：川東と岩屋地区が編入され、電話が開通しました。
以降、村は農業協同組合、商工会が設立されるなど発展を遂げ、昭和後期には青少年キャンプ村や少年自然の家が開設され、観光振興にも力を入れていました。
1977年（昭和52年）には有珠山が噴火し、村は大きな影響を受けました。
1983年（昭和58年）：洞爺村温泉が開湯しました。
2004年（平成16年）：とうや水の駅が開業しました。
2006年（平成18年）3月27日：虻田町と合併し、洞爺湖町となりました。


3. 行政

洞爺村は、虻田町との合併協議会を設置し、新設合併で洞爺湖町となりました。合併プロセスにおいては、村民と行政との間で多くの摩擦が生じました。村議会による村長への不信任決議や村長選挙など、激しい政治的駆け引きを経て、最終的に合併に至りました。豊浦町も当初は合併協議に参加していましたが、住民投票の結果を受けて離脱しました。


4. 経済

主要産業は農業でした。


5. 文化・教育

姉妹都市：香川県財田町（現・三豊市）
教育機関：北海道洞爺高等学校、洞爺中学校、洞爺小学校、大原小学校、成香小学校、香川小学校がありました。合併後、小学校は統合され、洞爺湖町立とうや小学校となりました。特に、建設費用が高額だった大原小学校の閉校については、村民から批判が寄せられました。大原小学校の旧校舎は、その後、特別養護老人ホームとして利用されるようになりました。


6. 交通

空港：新千歳空港、札幌飛行場（丘珠空港）が最寄りの空港でした。
鉄道：村内には鉄道路線はありませんでした。最寄り駅はJR北海道室蘭本線の洞爺駅です。
バス路線：道南バスが洞爺湖温泉、壮瞥町、伊達市、札幌駅などを結ぶ路線バスを運行していました。かつては、村と豊浦町を結ぶ路線もありましたが、廃止されました。札幌駅と洞爺湖温泉を結ぶ路線バスには、じょうてつバスも運行していましたが、2004年に撤退しました。
道路：国道230号、北海道道66号岩内洞爺線、北海道道132号洞爺公園洞爺線、北海道道285号豊浦洞爺線、北海道道560号仲洞爺留寿都線、北海道道578号洞爺虻田線など


7. 観光

浮見堂公園：聖徳太子像を祀る浮見堂があり、毎年7月下旬に聖徳太子祭が開催されていました。落雷による焼失後、再建されました。
洞爺村温泉（国民保養温泉地）
洞爺湖ぐるっと彫刻公園
とうや水の駅
その他、洞爺村産業まつり、とうや夏まつり、洞爺村国際彫刻ビエンナーレなどのイベントが開催されていました。


おわりに

洞爺村は、豊かな自然と歴史、そして活気ある地域社会を育んできました。2006年の合併によってその歴史は幕を閉じましたが、洞爺湖町の一部として、その歴史と文化は今も受け継がれています。

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