洞禅院

洞禅院の概要

洞禅院は、岐阜県恵那市武並町藤に位置する曹洞宗の寺院で、不老峰を山号としています。本尊は聖観世音菩薩で、地域の人々に信仰されています。愛知県小牧市の福厳寺の末寺であり、恵那三十三観音霊場の第二十七番札所としても知られています。

歴史

洞禅院の歴史は、室町時代の文明5年（1473年）にまで遡ります。当時、信濃国伊那郡松尾城主であった小笠原家長は、将軍足利義政の命を受け、子の小笠原定基や木曾家豊と共に東濃を攻略しました。この時、小笠原氏は恵那郡の大井城や土岐郡の荻之島城（刈安城）を攻め落としています。その後、尾張国大草城主であった西尾式部道永が荻之島城主となり、延徳3年（1491年）に、荻之島城の福門にあたる藤村の木曽川を臨む丘陵地に洞禅院を開基しました。開山には、福厳寺三世の盛禅洞奭を招いています。盛禅洞奭の弟子である來鳳は、尾張愛知郡岩崎城主の丹羽氏の菩提寺である妙仙寺を開山しました。妙仙寺は丹羽氏の転封に伴い移転し、現在は兵庫県加東市と愛知県日進市に存在します。

洞禅院は、開基から間もなく、享禄元年(1528年)に二世住持の養拙自牧が遷化した後、148年もの間、住職がいない状態が続きました。その後、延宝4年（1676年）に陽山泰春が寺を現在地に移築し、中興の祖として三世となりました。元禄13年（1700年）には失火により焼失しましたが、元禄16年（1703年）には四世の聖岩泰誾が堂宇を再建しました。

宝永5年（1708年）には、洞禅寺の裏山に爐が設けられ、尾張国春日井郡坂下村の水野平蔵と藤原政義によって寺鐘が鋳造されました。この梵鐘は、口径二尺四寸、重量八十二貫という大きなものでしたが、昭和17年(1942年)に戦時供出によって失われました。しかし、昭和46年(1971年)に檀徒の寄付により再鋳造され、現在に至ります。

境内

洞禅院の境内には、モミジの大木があり、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。長い歴史の中で、さまざまな出来事を経てきた洞禅院は、現在も地域の人々の心のよりどころとして大切にされています。

参考文献

『武並町史』　第四編　第五章　神社・仏閣　第三節　地区別の神社・仏閣・石造物　沖之洞地区　貴船山　洞禅院　p275 武並町史編纂委員会　平成5年
『恵那市史』　通史編　第2巻　第八章　江戸時代の社会生活と文化 第二節　社寺と文化　二　仏教と寺院　洞禅院　p1062～p1064　1989年
* 『恵那郡史』　第六篇　戦国時代　第二十六章　禅宗の興隆　【曹洞宗】　p200～p202　恵那郡教育会　1926年

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