津主治麻呂

津主治麻呂について

津主治麻呂（つ の すじまろ）は、奈良時代に活動していた官人で、正七位下の位階を持ち、遣新羅使として知られています。彼の姓は史であり、その生没年は不詳です。津主治麻呂は、百済の14代目の王である貴須王の子孫にあたる津氏（津史）の一員です。この氏族の出自を辿ると、牛が津史の氏姓を賜与されたのが始まりとされ、彼の祖先は王辰爾にさかのぼります。

出自と氏族の背景

津氏は、王辰爾を祖とする船氏やその慕叔の白猪胆津を祖とする白猪氏と同じ血筋を引いています。津の名は、港の管理を担当していたことに由来しており、本拠地は現在の大阪府羽曳野市北宮にあたる河内国丹比郡高鷲と推定されています。このことから、津氏は古代日本において重要な役割を担っていたことがうかがえます。

敏達天皇3年（574年）には、王辰爾の弟である牛に対し、津史の氏姓が与えられました。さらに、天平宝字年間の758年には、同じ一族の船氏や葛井氏と共に連姓に改姓しました。延暦9年には津真道が津連から菅野朝臣に改氏姓しています。

経歴

津主治麻呂が歴史に名を刻むきっかけとなったのは、元正天皇の時代の養老6年（722年）5月に遣新羅使に任命されたことです。正七位下という位階は、遣新羅使の中でも最低のもので、大使という称号も持っていませんでした。この任命の背景には、元明上皇の崩御を告げる重要な役割があったと考えられています。

津主治麻呂は、任命を受けた5月末に元正天皇に拝謁し、新羅へ向けて渡海しました。その後、12月下旬に無事に帰国を果たしました。この一連の行動から、彼が重要な外交任務を遂行した官人であったことがわかります。

参考文献

津主治麻呂の生涯やその背景については、いくつかの古文書や研究書が参考になります。特に『日本書紀』や『続日本紀』は、奈良時代の政治や氏族に関する貴重な資料を提供しています。また、『日本古代氏族事典』にも彼の出自に関する詳細な情報が記されており、津主治麻呂について学ぶための重要な文献となっています。

津主治麻呂のような歴史的人物を理解することは、日本の古代の政治状況や氏族制度を知る上で非常に重要です。彼の出自や役割を知ることで、古代日本の複雑な社交関係や政治的背景が見えてきます。

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