海兵遠征旅団

海兵遠征旅団とは

海兵遠征旅団（Marine Expeditionary Brigade、略称：MEB）は、アメリカ海兵隊に属する中規模の部隊であり、海兵空地任務部隊（MAGTF）の一形態です。MEBは、海兵遠征軍（MEF）と海兵遠征部隊（MEU）の間に位置する部隊として、特に大規模な危機や緊急事態に対処するための迅速な展開が可能です。通常、准将がその指揮を執り、人員数は7,000名から15,000名に達します。

編成

MEBは、複数の構成要素から成り立っています。ここでは、それぞれの部隊について詳しく説明します。

1. 指揮部隊（CE）

MEBの指揮部隊には、MEB司令部、武装偵察部隊、無線大隊、さらには海軍建設工兵などが含まれる場合があります。

2. 地上戦闘部隊（GCE）

この部隊は連隊上陸チーム（RLT）を中心に構成され、通常1個の海兵連隊を基幹として、砲兵、工兵、軽装甲偵察部隊、水陸両用部隊などが編成されます。

3. 航空戦闘部隊（ACE）

航空戦闘部隊は、集成・増強海兵航空群（MAG）を中心に編成され、中型ティルトローター機や大型ヘリコプター、攻撃ヘリコプター、固定翼攻撃機、輸送機、空中給油機を備えています。MEBのACEは、MAGTFのACEとしての機能を最大限に発揮するための最小戦力です。

4. 兵站戦闘部隊（LCE）

最後に、兵站戦闘部隊には戦闘兵站連隊（CLR）が含まれ、医療、整備、輸送など、後方支援に関する幅広い機能を持ち合わせています。MEBは、海軍の揚陸艦と連携し、最大30日間の継続的な運用が可能です。

配備

MEBは、前方展開している特別目的海兵空地任務部隊（SPMAGTF）や海兵遠征部隊（MEU）の増援として配置され、大規模な危機や予測不能な事態に迅速に対応します。ただし、部隊としての規模が大きいため、即応性はMEUに比べて低くなります。MEUが3隻の揚陸艦で展開できる一方で、MEBには約20隻の艦船が必要です。これに対応するために、海上事前集積船隊（MPS）が活用され、MEBが30日間戦闘可能な装備を積載します。

具体的な作戦例

例えば、砂漠の盾作戦では、海兵隊の初めて展開した部隊として第7MEBが活躍しました。人員は航空機を利用し、装備と物資はMPSで輸送されました。この作戦によって、さらに1個MEBが空輸とMPSを組み合わせて展開され、また揚陸艦を用いて2個のMEBが展開しました。続く砂漠の嵐作戦でも、第4および第5MEBが水陸両用作戦を担当する一方で、第1および第7MEBは地上作戦に従事しました。

再編と役割

1992年に全てのMEBは廃止されましたが、1999年から2000年にかけて、3つのMEFそれぞれに1個ずつのMEBが再編されました。新しいMEBは、前方展開部隊（MEF Forward）から名称が変更されたもので、MEFの副司令官が指揮を執る形で編成されています。この再編成は、ミディアム旅団構想に対抗し、海兵隊がMEUやMEFの中間的な規模の部隊を持つことを示す狙いがあったと言われています。

部隊一覧

現在、以下の部隊が存在します：

• - 第1海兵遠征旅団（カリフォルニア州サンディエゴ、キャンプ・ペンドルトン）
• - 第2海兵遠征旅団（ノースカロライナ州ジャクソンビル、キャンプ・レジューン）
• - 第3海兵遠征旅団（沖縄県うるま市、キャンプ・コートニー）
• - 第5海兵遠征旅団（バーレーン）

このように海兵遠征旅団は、アメリカ海兵隊における重要な役割を果たしており、国内外のさまざまな任務に対応しています。

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