海後磋磯之介

海後磋磯之介

海後磋磯之介（かいご さきのすけ）は、文政11年（1828年）に生まれ、明治36年（1903年）に没した、幕末から明治にかけて活躍した人物です。勤王志士としての側面と、明治時代の警察官吏としての側面を持っています。桜田門外の変に参加した桜田十八士の一人としても知られています。

生涯

常陸国那珂郡本米崎村（現在の茨城県那珂市）で、三嶋神社の神官の家に生まれました。幼少の頃から学問に励み、20歳になると水戸に出て剣術と砲術を学びました。佐野竹之介らと親交を深め、高橋多一郎や斎藤監物といった思想家からの影響を受け、尊王攘夷の思想に傾倒していきます。

安政5年（1858年）に勅書問題が起こると、海後磋磯之介は江戸へ向かい、政治活動に参加します。翌安政6年（1859年）に幕府が勅書返納を命じると、長岡（現在の茨城県東茨城郡茨城町）に同志と集結し、勅書が返納されるのを防ごうとしました。安政7年（1860年）には、大老・井伊直弼を暗殺する計画に加わり、同年2月21日に脱藩して江戸に潜伏します。

そして、同年3月3日、桜田門外の変に参加し、井伊直弼の暗殺を試みます。事件後、海後磋磯之介は那珂郡小野田村（現在の茨城県常陸大宮市）の高野家に身を隠し、その後も会津や越後を転々としながら潜伏生活を送りました。

文久3年（1863年）に藩政が回復すると、故郷に戻り、菊池剛蔵と改名しました。明治維新後は、警視庁や茨城県庁に勤務し、警察官吏として新たな時代を生きることになります。退職後は神主となり、晩年は水戸の自宅で静かに過ごし、76歳でその生涯を閉じました。

没後

2018年には、海後磋磯之介の遺書とされるものが公開され、注目を集めました。この遺書は、古式銃や和時計の研究家である澤田平氏によって発見されたもので、桜田門外の変における詳細な描写が、絵入りで記されています。森五六郎が井伊直弼の乗った籠に銃を発砲した様子や、直弼の首を切る様子などが、実行犯の名前とともに描かれており、事件の真相を知る上で貴重な資料となっています。

親族

海後磋磯之介の孫には、日本教育学会会長を務めた海後宗臣や、教育学者で国民精神総動員中央連盟の海後勝雄兄弟がいます。

遺稿

『潜居中覚書』
『春雪偉談』

海後磋磯之介が登場する作品

吉川英治の小説「旗岡巡査」：主人公のモデル
山田風太郎の小説『警視庁草紙』およびテレビドラマ『山田風太郎 からくり事件帖-警視庁草紙より-』：菊池剛蔵巡査として登場

海後磋磯之介は、幕末の激動期を生き抜き、明治維新後の社会で新たな役割を担った人物です。勤王志士としての勇敢な行動と、警察官吏としての社会への貢献は、後世に語り継がれるべき功績と言えるでしょう。

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