海野輝幸

海野 輝幸の生涯と戦歴

海野輝幸（うんの てるゆき）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて生きた武将である。彼の名は、特に三尺三寸の名刀「茶臼割」を最後まで手元に置いていたことに由来する。輝幸は戦国の動乱の中で、様々な戦果を上げ、また多くの困難に直面した。

出自と初期の活動

輝幸は上野国吾妻郡羽根尾の国衆、羽尾道雲の弟にあたる。海野氏は、海野幸氏の子孫を名乗っており、歴史的背景として、天文10年（1541年）に上野に亡命してきた海野棟綱の名跡を継いだ可能性が示唆されている。輝幸は、兄の道雲と共に、当初は武田氏配下の国衆として岩櫃城主・斎藤憲広に仕えた。しかし、斎藤憲広が武田氏から離反した際、真田信綱や室賀満正の調略によって、輝幸は武田軍に内応することとなる。

武田氏への忠誠

以降、輝幸は兄の幸光と共に武田氏の家臣として活躍することとなった。特に天正8年（1580年）には岩櫃城将に任じられ、城の防衛と領地の管理を行ったと言われている。また、彼の嫡男である幸貞が、真田氏の一員と姻戚関係になったことも確認されている。この時期、輝幸一家は武田氏の信任を受け、重要な役割を担うようになった。

海野兄弟誅殺事件

しかし、輝幸の運命は天正9年（1581年）に試練を迎える。兄の幸光と嫡男の幸貞と共に、武田氏に対する謀反の疑いをかけられ、誅殺される事件が発生した。この事件は詳細な史料が残っていないため、確固たる事実としては確認されていないものの、複数の史料がこの出来事を記録している。

『古今沼田記』や『羽尾記』では事件が10月23日に起こったとされているが、『加沢記』は11月としており、日付の一致は見られない。事件の背景には、当時の政局や派閥間の対立が影響している可能性があった。武田氏の領地である吾妻・沼田領を管理していた真田昌幸と弟・加津野昌春は、武田勝頼の許可を受けて海野兄弟を討伐することとなった。

自害と遺体の埋葬

輝幸とその嫡男は、沼田城から脱出する際に真田軍に追われ、最終的には自ら命を絶つことになる。輝幸は享年72と伝えられており、その遺体は沼田市岡谷町に埋葬された。彼と嫡男の墓は「海野塚」として現在も残っている。

結論

海野輝幸の人生は、戦国時代の波乱に満ちた歴史の中でも特に困難なものであった。彼の誅殺事件は、当時の権力の変動や家庭内の関係がいかに厳しいものであったかを物語っている。また、彼の名刀である「茶臼割」とその行いは、彼の存在を歴史に刻む要因ともなった。海野氏は、当時の拠点や領地において重要な役割を果たしたが、最終的には武田氏との関係から大きな試練を迎えることとなった。

もう一度検索