清原頼業

清原頼業（きよはら の よりなり）

清原頼業は、平安時代後期の貴族であり、同時に卓越した儒学者としても名を馳せました。初めは顕長と名乗っていましたが、後に頼滋と改名しています。大外記兼助教であった清原祐隆を父に持ち、官位は正五位上、そして大外記にまで昇りつめました。その功績から、死後には車折明神として祀られることとなりました。

生涯と業績

1142年、少外記として朝廷に出仕したのが頼業のキャリアの始まりです。その後、1150年には直講、1156年には記録所寄人・助教と、着実に官位を上げていきました。1166年頃には大外記に任命され、その後は穀倉院別当なども兼任し、正五位上に至っています。特に、大外記の長である局務を24年もの長きにわたって務めたことは、彼の並外れた実務能力を示すものと言えるでしょう。

藤原頼長や九条兼実といった当時の有力者たちは、早くから頼業の実務能力と深い学識を高く評価していました。そのため、平安時代末期の動乱期には、朝廷の政治諮問に与るなど、政治的な場面でも重要な役割を果たしました。

また、頼業は明経道の復興にも尽力しました。1175年には明経博士に任じられ、1179年には高倉天皇の侍読にもなっています。彼が講読・加筆・校訂を行った『春秋経伝集解』は、広澄流清原氏に伝えられたもので、明経道における彼の貢献を示す重要な資料です。

逸話

頼業には、いくつかの興味深い逸話が残されています。

1172年、宋の明州判史が朝廷と平清盛に贈物をした際、その送り文の言辞が無礼であると判断し、受取を拒否するよう主張したというエピソードは、彼の強い正義感を示すものです。
『礼記』から『大学』を抄出して別格扱いとしたのは、朱熹が四書をそれぞれ独立させて新注を施すよりも前であったという説は、頼業の子孫である清原業忠によって伝えられました。また、そこから転じて、車折神社の神体は『論語』であるという伝承も生まれました。
藤原経宗の屋敷で酒を酌み交わしながら公事について話し合うことが常でしたが、退出する際には必ず「あはれ一上や」と呟き、かつての主であり師でもあった藤原頼長を偲んでいたと言います。このエピソードからは、頼業の律儀さと、恩を忘れない人柄が伺えます。

官歴

時期不詳：従五位下
1142年：肥前介
1155年：見直講兼周防介

系譜

父：清原祐隆
母：長門守清信の娘
妻：大監物持貞の娘
男子：清原近業（1152-1183）
男子：清原仲隆（1155-1225）
生母不詳の子女
男子：清原佐光
男子：清原親業
四男：清原良業（1164-1210）
男子：清原忠業
男子：清原業綱
女子：高倉院女房大弐局（または帥局）
女子：博士信弘妻
女子：藤原光範室

参考文献

向居淳郎「清原頼業伝」『日本史研究』3号所収、1947年
和島芳男「清原頼業論」『大手前女子大学論集』5号所収、1971年
宮崎康充編『国司補任 第五』続[[群書類従完成会]]、1990年

関連項目

車折神社 - 頼業を主祭神とする
* 車折神社 (各務原市) - 上記の分霊

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