清水湛

清水湛（しみず あつし）

日本の裁判官、弁護士。
元広島高等裁判所長官。

生涯

1934年（昭和9年）9月24日、山梨県に生まれる。
1953年（昭和28年）に山梨県立甲府第一高等学校を卒業。
1957年（昭和32年）司法試験第二次試験に合格し、翌1958年（昭和33年）3月に東京大学法学部を卒業。

1960年（昭和35年）4月8日、東京家庭裁判所判事補兼東京地方裁判所判事補に任官。その後、1962年（昭和37年）9月15日に東京地方検察庁検事となり、法務省民事局に配属。以降、検察官、法務省官僚としてのキャリアを重ねる。

法務省では、民事局の各課長を歴任し、1984年（昭和59年）には法務大臣官房審議官（民事局担当）に就任。その後、会計課長、司法法制調査部長などを務め、法務行政の中枢を担った。

1988年（昭和63年）4月20日、東京高等裁判所判事となり、裁判官としてのキャリアをスタート。
1990年（平成2年）3月5日には、最高検察庁検事兼法務省民事局長に就任。
1993年（平成5年）7月2日に東京高等裁判所判事（部総括）に就任し、裁判官としての専門性を高めた。

1996年（平成8年）3月1日には千葉地方裁判所長に任命され、裁判所長としての手腕を発揮。
1997年（平成9年）10月31日には広島高等裁判所長官に就任し、裁判官としての最高位に上り詰めた。

1998年（平成10年）12月11日、依願退官。
退官後は、1998年（平成10年）12月15日に金融再生委員会委員に就任し、金融行政にも携わった。2001年（平成13年）1月には金融庁顧問、同年4月には内閣府情報公開審査会会長を務めるなど、行政の分野でも活躍した。

2004年（平成16年）4月には桐蔭横浜大学法科大学院教授に就任し、後進の育成にも尽力。同年6月には株式会社東芝取締役にも就任し、企業経営にも携わった。

2005年（平成17年）1月20日、弁護士登録（第二東京弁護士会）を行い、弁護士としての活動も開始。2005年（平成17年）10月には東日本高速道路株式会社監査役、2008年（平成20年）6月には株式会社横浜銀行監査役にも就任するなど、多方面で活躍した。

2006年（平成18年）11月3日、長年の功績が認められ、瑞宝大綬章を受章。
2007年（平成19年）10月には日本取引所自主規制法人理事に就任した。

2024年（令和6年）11月13日、肺炎のため逝去。享年90歳。死没日をもって正三位に叙された。

主な著書

『手形訴訟法――民事訴訟法の一部改正法の逐条解説』（商事法務研究会、1964年）
『新根抵当法』（貞家克己と共著）（金融財政事情研究会、1973年）
『改正商法の実務と登記』（編著）（金融財政事情研究会、1975年）
『登録免許税法詳解』（編著）（金融財政事情研究会、1982年）
『登記・供託実務辞典』（枇杷田泰助と共編著）（民事法情報センター、1986年）
『逐条民法特別法講座3 担保物権1』（川井健と共編著）（ぎょうせい、1992年）
『逐条民法特別法講座4 担保物権2』（川井健と共編著）（ぎょうせい、1994年）
『全訂 不動産登記入門』（監修）（民事法情報センター、2008年）
* 『全訂 不動産表示登記入門』（監修）（新井克美著）（民事法情報センター、2008年）

人物

裁判官、検察官、法務官僚、弁護士、大学教授、企業経営者と多様な分野で活躍した。その幅広い知識と経験を活かし、日本の法曹界、行政、教育、経済界に多大な貢献を果たした。

温厚で誠実な人柄で、多くの人から信頼されていたとされる。また、常に法と社会の発展を考え、公正な判断を心がけていたとされる。

清水湛の功績は、日本の法曹界、行政、教育、経済界に大きな足跡を残したと言えるだろう。

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