渡邉昭

渡辺昭（わたなべ あきら）は、1901年12月25日に生まれ、2005年7月23日に103歳で亡くなった日本の華族であり、伯爵でした。彼は貴族院議員を務めたほか、ボーイスカウト日本連盟の第7代総長としてもその名を知られています。特に「昭和天皇の最後の御学友」として、その生涯は多くの人々に記憶されています。

生い立ちと爵位

1901年、渡辺昭は伯爵渡邉千秋の嫡孫として東京の高輪南町で誕生しました。1918年には伯爵を襲爵し、華族としての地位を確立しました。彼の家系は父方に伯爵渡邉千秋、母方に公爵大山厳という名門であり、その血筋は社会的に大きな影響力を持っていました。

ボーイスカウト運動への貢献

1928年、学習院の先輩であった三島通陽、松方三郎らとの出会いをきっかけにボーイスカウト運動に関わるようになります。彼は「東京連合少年団」の理事に就任し、ブラジルに200アールの土地を購入して渡辺農場とし、力行会の南米農業練習所として活用するなど、海外での活動も支援しました。1934年にはオーストラリアジャンボリーに日本派遣団長として参加、1936年には少年団日本連盟理事に就任するなど、日本のボーイスカウト運動の発展に大きく貢献しました。

社会教育と政治活動

1938年、文部省の委嘱によりヨーロッパの社会教育状況を調査。特にドイツではヒトラーユーゲントの活動を詳細に調査しました。帰国後は大蔵大臣秘書官、企画院総裁秘書官などを歴任し、政治の中枢にも関与しました。1943年には貴族院議員に互選されましたが、1946年に辞職し、公職追放の憂き目にあいました。しかし、1967年にはボーイスカウト日本連盟の総コミッショナーに就任し、再び社会活動の第一線に復帰しました。

晩年と家族

1969年には藍綬褒章を受章し、1973年には世界スカウト機構世界委員会委員に就任しました。1974年にはボーイスカウト日本連盟総長に就任し、2003年までその職を務めました。2005年7月23日、老衰のため東京都内の自宅で亡くなりました。享年103歳でした。

渡辺昭の家族構成も特筆すべきものです。妻は男爵小畑大太郎の娘である春子であり、子には明仁天皇の侍従長を務めた渡邉允がいます。さらに、渡邉允の妻である秋子は高島屋創業者の孫にあたるなど、名門の家系であることが伺えます。また、大叔父に子爵渡辺国武、叔父に渡辺千冬、いとこに渡辺武(官僚)や渡辺慧、従甥にノーベル賞化学者の野依良治がいるなど、親族にも多くの著名人がいます。

評伝

渡辺昭の生涯については、姪である久野明子によって『昭和天皇最後の御学友 ある華族の一世紀』（中央公論新社、2000年）が出版されており、彼の人生をより深く知ることができます。

渡辺昭は、華族としての地位とボーイスカウト運動への情熱、そして社会教育への貢献を通じて、日本の近代史に大きな足跡を残しました。彼の人生は、激動の時代を生き抜いた一人の人物の物語として、後世に語り継がれるでしょう。

もう一度検索