渡部富哉

渡部 富哉について

渡部 富哉（わたべ とみや、生年1930年）は、日本の著名な社会運動家であり、社会運動の研究者として知られています。彼の活動は戦後日本における社会運動の展開と密接に関わっており、その人生は多くの人々に影響を与えています。

経歴

彼は1930年に東京で生まれました。1946年には逓信省（後の郵政省）に勤め始めましたが、1950年に日本共産党に入党した後、同年11月にはレッドパージにより職を追われました。これをきっかけに、彼は共産党の非公然活動に参加し、その後の社会運動に深く関与することとなります。

1955年、彼は玉掛工から旋盤工に転職し、ここで日本鋼管鶴見造船所（鶴見船渠）での勤務が始まります。その後、労働組合運動に積極的に取り組み、1960年の安保闘争にも参加しました。

1961年に石川島播磨重工業田無工場に入社し、ジェットエンジン製造部門の研磨工として働きながら、「田無反戦」運動を立ち上げました。彼の活動はベトナム反戦運動や成田空港反対闘争にも拡大し、1970年まで続きました。また、数回にわたり造船合理化闘争にも関わるなど、社会運動の最前線で活動してきました。

彼は、日本共産党の党幹部達とも関わりを持ち、志賀義雄や志田重男、椎野悦朗などの知遇を得ました。結婚相手は、党幹部である志田の紹介で見つけたといいます。1985年には定年を迎え、退職後は整理を託された元党幹部の資料を基に社会運動資料センターを設立しました。

その後の活動

1985年には『徳田球一全集』の編集事務局長に就任し、全6巻を出版しました。1984年の長谷川浩の葬儀を通じて伊藤律と出会い、以降彼との交流が始まります。伊藤との書簡やインタビューを通じて得た証言を基に、彼は1993年に『偽りの烙印―伊藤律・スパイ説の崩壊』を著し、従来の定説である伊藤のスパイ説に挑みました。

同年には伊藤律の遺言執行者として『伊藤律回想録―北京幽閉二七年』を出版し、1994年には有志と共に「伊藤律の名誉回復を求める会」を結成しました。この活動を通じて、彼はゾルゲ事件の研究にも取り組むようになり、また「徳田球一記念の会」の理事や社会運動資料センターの代表としての役割も担っています。

著作および監修

渡部の著書には『偽りの烙印 - 伊藤律・スパイ説の崩壊』があり、1993年に発表され、1998年には新版が刊行されました。また、伊藤律書簡集の刊行を監修し、1999年には『生還者の証言 伊藤律書簡集』として出版されました。さらに、2012年には『白鳥事件　偽りの冤罪』を同時代社から発表し、社会的な問題に対する関心を高めました。

彼の活動や著作は、戦後日本の社会運動や歴史的な事件に対する理解を深める上で重要な役割を果たしています。

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