湯神社

湯神社

湯神社は、愛媛県松山市の冠山に鎮座する神社です。古くは式内社であり、現在は県社となっています。神紋は「亀甲に花菱」です。境内には、同じく式内社である出雲崗神社も祀られています。湯神社は、「湯月大明神」「四社大明神」「西宮」といった別名でも親しまれています。

概要

湯神社は、松山市街地の東部、道後温泉に近い冠山の山頂に位置しています。社名は道後温泉に由来し、元々は道後温泉の起源地である鷺谷に鎮座していました。

祭神

湯神社の祭神は以下の通りです。

主祭神
大己貴命（おおなむちのみこと）：大国主命の別名
少彦名命（すくなびこなのみこと）
※『伊予国風土記』には、この二神が道後温泉に関わったという伝承が記されています。
相殿神（出雲崗神社祭神）
素盞嗚命（すさのおのみこと）
稻田姫命（くしなだひめのみこと）

歴史

湯神社は、景行天皇が皇后・八坂入姫命とともにこの地を訪れた際、道後温泉の守護神として、鷺谷の大禅寺の前に創建されたと伝えられています。鷺谷は、鷺が足の傷を温泉で癒していたという伝説があり、道後温泉発祥の地とされています。舒明天皇の行幸の際には、社殿が新築されました。

一方、現在の社地である冠山には、元々出雲崗神社が鎮座していました。出雲崗神社は、孝霊天皇の時代に創建され、素盞嗚尊、稲田姫命、大山積命、茅野姫命の四柱の神を祀っており、「四所大明神」とも呼ばれていました。

『延喜式神名帳』には、湯神社は「伊予国温泉郡 湯神社」、出雲崗神社は「伊予国温泉郡 出雲崗神社」として記載され、共に式内社に列せられています。

大永年間に地震が発生し、温泉が埋没し、湯神社の社殿も大きく損壊しました。そのため、河野通直によって湯神社は出雲崗神社に合祀され、「湯月大明神」「四社大明神」などと呼ばれるようになりました。

元禄時代になり、社号は再び湯神社と出雲崗神社に分けられました。

宝永4年（1707年）に地震が発生し、温泉の湧出が止まった際、湯神社で出湯祈祷が行われた結果、再び温泉が湧き出したと伝えられています。その功績により、宝永5年（1708年）に湯神社は相殿から境内別社となりました。

明治4年（1871年）、湯神社に出雲崗神社が合祀され、現在の形となりました。参道前にある社号碑は、出雲大社の第82代出雲国造である千家尊統の筆によるものです。（伊佐爾波神社の社号碑も同様です。）

摂末社

三穂社
祭神：事代主命、蛭兒命
八幡若宮社
祭神：大鷦鷯尊（仁徳天皇）
児守社
祭神：神大市姫命、鎭疫神、河野通広
元々は松山城の東麓にありましたが、松山城築城の際に湯神社の末社である河野霊神に合祀されました。河野霊神は、時宗の開祖である一遍が父・河野通広を祀るために建立したものです。遊行上人が巡教の際には必ず参拝し、その都度領主が社殿を造営・整備したとされています。鎮疫神は、安政6年に悪病が流行した際に、鎮疫のために勧請されました。
中嶋神社
祭神：田道間守命
昭和32年（1957年）3月、四国四県の製菓業者によって、兵庫県豊岡市にある製菓・柑橘の祖神である中嶋神社の御分霊を迎え、四国分社として創建されました。

主な祭事

（詳細な情報は公式サイト等をご参照ください）

現地情報

所在地: 愛媛県松山市道後湯之町4-10
交通アクセス: 伊予鉄道城南線（市内電車） 道後温泉駅 徒歩4分

周辺情報

道後温泉
道後温泉本館
椿の湯
放生園 - からくり時計・足湯のある公園
道後商店街
道後公園（湯築城跡）
松山市立子規記念博物館
伊佐爾波神社
松山神社
石手寺 - 四国霊場第五十一番札所
宝厳寺 - 時宗開祖一遍上人誕生地
常信寺

参考文献

『日本歴史地名大系 愛媛県の地名』（平凡社）松山市 湯神社項

外部リンク

湯神社（公式サイト）
愛媛県神社庁のページURL'>湯神社（愛媛県神社庁）

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