満福寺 (養父市)

満福寺（まんぷくじ）

満福寺は兵庫県養父市にある真言宗の寺院で、山号は新宮山、院号は本浄院と呼ばれています。寺院の本尊は千手観音であり、但馬地方では「但馬の高野山」と称されています。歴史的な背景をもつこの寺院は、訪れる人々に深い信仰を伝え続けています。

歴史

満福寺の創建は、天平年間（729年-749年）にまで遡るとされています。この時期に行基が但馬国を訪れ、寺院の建立を行ったという伝承があります。その後、空海（弘法大師）が弘仁年間（810年-824年）に来錫し、真言密教の道場を開設しました。地名に「十二所」（江戸時代には十二所村）が見られることから、かつてこの地域には「熊野十二所権現」が奉られたという説があり、中世には但馬における熊野信仰の中心として機能していた可能性も指摘されています。

寺院は天正年間に豊臣秀吉の但馬侵攻によって兵火に見舞われ、伽藍は焼失しましたが、それ以前は17坊を有する大規模な寺院であったと伝えられています。江戸時代には、弘元上人が住職を務め、学識の高い僧侶として知られていました。また、幕末には池田草庵が幼少のころに修行した場としても名を知られています。

現在では周辺に遊歩道が整備されており、地域住民や観光客が訪れるスポットになっています。

所蔵文書

満福寺は豊富な文書を所蔵しており、特に『新宮山大蔵書』は約3000冊にものぼります。また歴史的価値の高い文書も幾つか保存されており、『新宮山満福寺田地付帳』や『新宮山満福寺記』、弘元上人による『中院流傳授目録併聞書・弘補』なども含まれます。

境内の施設

境内には、いくつかの重要な建造物があります。古墳は5世紀に遡り、本浄院観音堂の真下に存在します。また、仁王門や本堂の他に、観音堂もあり、歴史的な価値があります。特に本堂は嘉永元年（1848年）に焼失し、嘉永5年（1852年）に再建されました。観音堂は明暦元年（1655年）に再建され、その後文政8年（1825年）に再々建されました。

駐車場も整備されており、40台分のスペースがあります。利用は無料で、多くの訪問者が利用することができます。

文化財

満福寺は養父市の指定文化財としていくつかの重要な文化財を抱えています。康永2年（1343年）に建立された宝篋印塔や、満福寺塔、さらには『柿本人麻呂像』や『不動明王像』、『愛染明王像』などの絵画も指定されています。

交通アクセス

満福寺へのアクセスは便利です。鉄道を利用する場合、JR山陰本線の八鹿駅からバスで約20分の距離に位置しています。また、一般道や高速道路を利用することでもアクセス可能です。

周辺の名所

満福寺周辺には、養父神社や名草神社、観音寺などの観光地が点在しており、訪れる価値のあるスポットが豊富です。また、養父市立養父公民館やとが山自然文化園、養父市立大庄屋記念館なども周囲にあります。

このように、満福寺は歴史と信仰の息吹を感じることができる素晴らしい場所であり、多くの人々の心の拠り所となっています。この寺院を訪れることで、但馬地方の文化や歴史に触れることができるでしょう。

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