源覚寺 (文京区)

源覚寺（こんにゃくえんま）

源覚寺は、東京都文京区小石川に位置する浄土宗の寺院です。山号は常光山。
「こんにゃくえんま」の名で親しまれており、多くの人々に信仰されています。

歴史

源覚寺は、寛永元年(1624年)に定誉随波上人によって創建されました。定誉随波上人は後に増上寺の第18世住職となっています。
本尊は阿弥陀三尊（阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩）です。
特に徳川秀忠、徳川家光からの信仰が篤く、寺院の発展に大きく寄与しました。

江戸時代には、源覚寺は四度ほど大火に見舞われました。中でも天保15年（1848年）の大火では、本堂などがほとんど焼失するという甚大な被害を受けました。
しかし、「こんにゃくえんま像」と本尊は幸いにも難を逃れ、焼失を免れました。
本堂の再建は明治時代に入ってから行われました。
その後、関東大震災や第二次世界大戦といった災害も乗り越えましたが、老朽化が進んだため、1979年に現在の本堂が再建されました。

源覚寺は、小石川七福神の一つとして毘沙門天を祀っています。
また、毎年7月には境内でほおずき市が開かれ、多くの人々で賑わいます。（近隣の伝通院の朝顔市とともに有名です。）

こんにゃくえんま

源覚寺の別称にもなっている「こんにゃくえんま像」は、鎌倉時代に運慶派の仏師によって作られたと推定される木造の閻魔王坐像です。
像高は100.4センチメートルで、像内には寛文12年（1672年）の修理銘が確認できます。
この像は文京区指定有形文化財に指定されており、文京区内にある仏像の中でも古いものに属します。

「こんにゃくえんま像」の最大の特徴は、閻魔像の右側の眼が黄色く濁っていることです。
この右眼の濁りには、次のような伝説が残されています。

宝暦年間（1751年 – 1764年）に眼病を患った老婆が、この閻魔大王像に日夜祈願していました。
満願の夜、老婆の夢に閻魔大王が現れ、「我、日月にも等しい両眼のうち一つをえぐり取って汝に授くべし」と告げました。
すると、老婆の眼はたちまち治癒しました。老婆は感謝のしるしとして、自身の好物であったこんにゃくを断ち、閻魔大王に供え続けました。

この伝説から、この閻魔王像は「こんにゃくえんま」「身代わり閻魔」として人々に信仰されるようになりました。
現在でも眼病治癒などのご利益を求めて、閻魔像にこんにゃくを供える人が後を絶ちません。
毎年1月と7月には、閻魔例大祭が執り行われます。

史跡・施設

本堂
閻魔堂

「こんにゃくえんま」と通称される閻魔王像、地蔵菩薩像、奪衣婆像が祀られています。
閻魔堂は完成から150年以上が経過し老朽化が進んでいたため、2003年に再建されました。
汎太平洋の鐘

元禄3年（1690年）に完成したこの鐘は、元々源覚寺が所有していました。
昭和12年（1937年）に、当時日本領だったサイパンの南洋寺に搬出され、サイパンの人々に時を告げる鐘として使用されていました。
しかし、第二次世界大戦が勃発し、サイパンが戦禍に巻き込まれる中で、この鐘も行方不明となってしまいました。
戦後の1965年、米国・テキサス州でこの鐘が発見され、1974年に源覚寺に返還されました。
その返還の模様はマスコミにも取り上げられ、大きな話題となりました。
現在では、除夜の鐘として大晦日に撞かれています。
南洋群島物故者慰霊像

第二次世界大戦でサイパンなど南洋群島で犠牲になった人々を追悼するための菩薩像です。
塩地蔵尊

自身の治したい部分に相当する箇所に塩をつけるとご利益があるとされています。
毘沙門天

小石川七福神の一つです。
墓所
堀利煕（旗本、外国奉行）
小栗虫太郎（小説家）
数原尚樹（歌人、元幕府医師）

アクセス

〒112-0002 東京都文京区小石川2-23-14
都営三田線・大江戸線春日駅A5出口より徒歩2分
東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅8番出口より徒歩3分
文京区コミュニティバス Bーぐる 目白台・小日向ルート「こんにゃくえんま」停留所下車
拝観は日中の時間帯のみ無料

関連項目

中川小十郎 - 学生時代に源覚寺に下宿していました。

外部リンク

源覚寺ウェブサイト
えんま商盛会（門前の商店街）ウェブサイト
* 源覚寺 小石川墓陵　霊園ガイド

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