溝口信勝

溝口信勝の生涯と業績

溝口信勝（みぞぐち のぶかつ）は、江戸時代前期に活躍した旗本であり、通称は熊之助や八十郎、源右衛門でした。彼は従五位下・豊前守の官位を持ち、彼の家系は大和国平群郡に所領を与えられたことから「平群溝口家」と呼ばれることがありますが、後にその所領は上野国に移転しました。

生い立ち

信勝は越後国の沢海藩初代藩主である溝口善勝の四男として誕生しました。彼は初め「之勝」（ゆきかつ）と称し、後に信勝と改名しました。寛永16年（1639年）6月1日、3代将軍・徳川家光に初めてお目見えをし、将来の出世への道を歩み始めます。

寛永20年（1643年）には書院番士に任命され、兄の政勝から譲り受けた越後蒲原郡の領地の一部、3000石のうち2000石を与えられました。その後も、彼はさまざまな職務を与えられました。特に、寛文2年（1662年）には使役に任命され、布衣の着用を許されました。これ以降は、さまざまな役割を担い、官職としての活動を精力的に行います。

公務と業績

信勝は寛文から元禄にかけて、多くの重要な公務を遂行しました。寛文2年には小諸城の引き渡し、寛文5年には仙台藩の監察、寛文7年には東海道や飛騨、信濃などの巡視を行っています。また、寛文8年には山形城の引き渡しも行いました。

寛文10年（1670年）には奈良奉行に転任し、大和国平群郡の所領をさらに増加させ、計500石を持つようになります。さらに、寛文11年（1671年）6月28日には、春日社の遷宮に際して神鹿の問題に取り組み、町人たちの困難を軽減するため、鹿を網に囲い入れる提案を行い、これが毎年の角切りにつながりました。信勝がこれを実施したことで、中世以来の興福寺の奈良支配に終止符が打たれました。

また、延宝6年（1678年）には鹿殺しの犯人を興福寺が引き渡そうとした際、それを拒否し、以後は奉行所での裁判が行われることとなりました。これらの業績は当時の社会制度に対する革新をもたらし、信勝の名を強く印象づけました。

晩年

天和元年（1681年）10月22日、信勝は奈良奉行を辞し、小普請に転任しました。同時に彼の知行地は上野国の緑野や多胡、甘楽、碓氷の4郡へ移されました。信勝はその後、寄合に参加し、1720年6月22日に70歳で亡くなりました。法名は智光院殿實参了心大居士で、彼の遺体は江戸にある貝塚の青松寺に葬られました。また、元の知行地であった群馬県高崎市吉井町にある仁叟寺にも彼の墓所が存在し、その墓石は大変大きなもので、牛伏砂岩製とされています。

家系

信勝には父の溝口善勝と母の慶春院（前田長種の娘）がいます。正室は板倉重昌の娘であり、その間には溝口勝興という子供が生まれました。また、生母不明の子女や、板倉重矩の養女、逸見義寛の室として溝口安勝の娘がおります。

このように、溝口信勝は江戸時代の重要な政治・社会活動に寄与した人物であり、日本の歴史に名を刻んでいます。

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