滇吾

滇吾（てんご）

滇吾（拼音: Diānwú、生没年不詳）は、後漢時代の羌族の首領の一人であり、滇良の子として生まれた。

生涯

父である滇良の死後、滇吾は焼当羌の首領の地位を継承した。中元元年（56年）には、武都郡の参狼羌が反乱を起こし、漢の役人を殺害するという事件が発生。これに対し、隴西太守の劉盱は、辛都と李苞に5千の兵を与え鎮圧に向かわせた。辛都らは羌族と交戦し、その首領を討ち取り、千人以上を斬首または捕虜にした。この頃、滇吾の勢力は拡大しており、羌族の中で有力な存在となっていた。彼は、漢への侵攻を企てる者に戦略を授けていたため、多くの羌族から指導者として仰がれていた。

中元2年（57年）の秋、滇吾は弟の滇岸と共に歩兵と騎兵合わせて5千を率いて隴西塞を襲撃。隴西太守の劉盱が応戦したが、これを打ち破ることができなかった。さらに劉盱は允街で再び戦うも羌族に敗北し、500人以上が犠牲となった。この敗戦により、国境を守る羌族たちは相次いで反乱を起こした。光武帝は事態を重く見て、張鴻を派遣し、各地の兵を率いて鎮圧に当たらせたが、允吾と唐谷での戦いで漢軍は敗北し、張鴻と隴西長史の田颯は戦死した。また、天水の兵も牢姐種に白石で敗れ、千人以上の死者を出した。

当時、焼何の豪には比銅鉗という百歳を超える女性がおり、その知略により多くの人々から信頼されていた。彼女は盧水胡に襲われた際、自らの民を率いて郡県に身を寄せた。しかし、彼女の民の中に罪を犯す者がおり、臨羌の長は比銅鉗を捕らえ、600～700人を処刑した。この事態に対し、明帝は同情の念を示した。

永平元年（58年）、明帝は中郎将の竇固と捕虜将軍の馬武に滇吾を西邯で討伐させた。漢軍は羌族を打ち破り、滇吾は遠方へ逃走、残党は四散して降伏した。後漢は降伏した民のうち7千人を三輔に移住させた。明帝は竇林を護羌校尉に任命し、狄道に駐屯させた。竇林は羌族からの信頼が厚く、滇吾の弟である滇岸が降伏してきた。しかし、竇林は部下の不正に欺かれ、滇岸を誤って有力な首長として報告してしまい、滇岸は帰義侯に封じられ、漢の大都尉に任じられるという事態になった。翌年（59年）に、兄である滇吾が降伏してくると、竇林は再び上奏し、滇吾と共に皇帝に謁見させた。明帝は一部族に2人の首長がいることを不審に思い、竇林を問い詰めた。竇林はとっさに「滇岸が滇吾であり、隴西の言葉が曖昧であったため誤解が生じた」と嘘をついた。しかし、明帝が徹底的に調査した結果、竇林の嘘が発覚し、明帝は激怒して竇林を罷免した。さらに、涼州刺史が竇林の収賄の罪を訴えたため、二つの罪が重なった竇林は死罪となった。竇林の後任として郭襄が護羌校尉に任命され、隴西に赴任したが、涼州羌が勢いを増していることを聞き、すぐに帰還してしまった。明帝は郭襄を処罰し、護羌校尉の官を再び廃止した。

その後、羌族の間では滇吾の息子である東吾が首領となった。

子

東吾
迷吾
* 号吾

もう一度検索