迷吾

迷吾（めいご）

迷吾（拼音: Míwú、生年不詳 - 87年）は、中国後漢時代の羌族の首領の一人であり、滇吾の子で東吾の弟にあたります。

生涯

迷吾の生涯は、後漢との関係における葛藤と変化に満ちています。当初、父の滇吾が後漢に降伏したように、兄の東吾も塞内に入居し守備に当たっていましたが、迷吾自身は略奪行為を繰り返していました。

76年、安夷県の役人が卑湳種羌を略奪し、その婦人を妻とした事件が起こります。これに対し、婦人の夫が安夷県の役人を殺害し、安夷県長である宗延を追って塞を出奔。事態を重く見た種人は、誅殺を恐れて宗延を殺害し、勒姐・吾良の2種と結託して反乱を起こしました。この事態に対し、隴西太守の孫純は従事の李睦と金城の兵を派遣し、和羅谷で卑湳種らと交戦。数百人を斬首・捕虜にするという戦果を挙げました。事態を収拾するため、章帝は元度遼将軍の呉棠を護羌校尉に任命し、安夷に赴任させました。

77年夏、迷吾は兵を集め、遂に塞を出て反乱を起こします。金城太守の郝崇はこれを追撃し、茘谷で戦いますが、郝崇の兵は大敗を喫し、郝崇自身も辛うじて脱出。死者は2千人以上にのぼりました。この敗戦により、諸種および属国の盧水胡はことごとく迷吾に呼応し、呉棠は事態を収拾できずに罷免。後任として武威太守の傅育が護羌校尉となり、臨羌に赴任します。迷吾はまた、封養種豪の布橋ら5万余人と共に隴西・漢陽を侵略。章帝は行車騎将軍の馬防・長水校尉の耿恭を派遣し、これを撃破。迷吾は臨洮・索西と共に降伏しました。後漢は索西城を築き、隴西南部都尉を移してこれを守らせ、各地の見張り台を復活させました。

86年、迷吾は弟の号吾や諸雑種らと再び反乱を起こし、号吾が隴西界で略奪行為を行います。郡督烽掾の李章は号吾を追撃し、生け捕りにしますが、号吾の「私ひとりを殺したところで何の意味もない」という言葉を受け、隴西太守の張紆は彼を釈放。これによって羌は各々の故地に帰還し、迷吾は河北の帰義城に退居しました。傅育は信義を重んじ討伐を望まず、諸羌胡同士を戦わせようとしましたが、うまくいかず、羌胡は再び反乱を起こし、塞を出て迷吾に身を寄せました。

87年、傅育は隴西・張掖・酒泉の兵5千人の派遣を要請し、自ら漢陽・金城の兵5千人を率いて、総勢2万の兵で羌討伐に出陣。これを聞いた迷吾は部落を移動させますが、傅育は精鋭3千を選抜し追撃。建威の南の三兜谷に至り、夜襲をかける予定でしたが、何の備えもしていませんでした。そこを迷吾は伏兵300人で夜襲。傅育の陣営は大混乱に陥り、傅育は馬から降りて奮戦するも、十数人を殺害した末に戦死。この戦いで880人が死亡しました。諸郡の兵が到着すると、羌は退却。章帝は傅育の戦死を悼み、褒美を贈り、息子の傅毅を明進侯に封じました。護羌校尉は隴西太守の張紆が代わって担当し、1万人の兵が臨羌に駐屯することとなりました。

同年、迷吾は再び諸種の歩兵と騎兵7千人を率いて金城塞に侵入。張紆は従事の司馬防と金城の兵を派遣し、木乗谷で会戦。迷吾の兵は敗走したため、通訳を通じて降伏を申し出ます。張紆はこれを受け入れ、種人と共に臨羌県に帰還すると、種人を招いて宴会を開き、酒に毒を盛って羌人を殺害。酋豪800人余りを誅殺しました。張紆は迷吾ら5人の首を斬り、傅育の墓に供えました。

迷吾の死後、息子の迷唐が後を継ぎました。

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