滝川具綏

滝川具綏: 江戸後期から明治初期の陸軍軍人

滝川具綏（たきがわ ともやす）は、江戸時代の終わりから明治時代にかけて活躍した軍人であり、江戸幕府の旗本としてのキャリアを持ちながら、後に新政府の軍に転身しました。彼の最終的な階級は陸軍中尉で、位階は従七位です。父親は大目付を務めた滝川具挙であり、家紋は鶴の丸です。彼の生涯は、波乱に富んだ戦歴やキャリアの変遷によって特徴づけられています。

初期の経歴と出発

具綏は、慶応2年（1866年）に横浜で開催されたフランス式の兵士訓練に参加することで、その軍事的なキャリアをスタートさせました。続く慶応4年（1868年）1月には、歴史的な鳥羽・伏見の戦いに参戦し、その後江戸では歩兵頭並に昇進しました。この戦いは、戊辰戦争の主要な一幕として非常に重要であり、具綏の軍人としての資質を証明する場となりました。

江戸開城の際には、彼は伝習第一大隊の残兵を指揮して江戸を去り、同年の4月14日には大鳥圭介と合流しました。その後、彼は秋月登之助の伝習第一大隊から本多幸七郎の伝習第二大隊に転属し、伝習第二大隊の頭取改役に任命され、さらなる出世を果たしました。

戦場での経験と影響

具綏は、その後の戦闘でも数多くの実戦経験を積みました。彼は、大川正次郎と共に実戦経験の少なかった大鳥圭介を支えつつ、宇都宮城の戦いや今市の戦い、会津戦争などに参加しました。最終的に、仙台で伝習士官隊の隊長に昇進しました。この頃の状況は、新しい武士階級としての立場を確立しつつあった彼にとって、軍人としての腕前を高める貴重な機会となりました。

その後、彼は榎本武揚の艦隊と合流し、箱館戦争に参戦します。明治2年（1869年）4月には、二股口の戦いで新政府軍の駒井政五郎を打ち破る活躍を見せましたが、彼の指揮の下、多くの部下を失ったことが大きな悲劇となります。この悲惨な結果に対し、大川正次郎が滝川を責めると、土方歳三がその場を収める一幕があり、「大川の理、滝川の勇」と評されたという逸話が残っています。

同年5月、五稜郭の開城により滝川は降伏し、その後弟の規矩次郎（具和）が家督を継ぎました。彼はその後、弘前や函館を通じて赦免され、静岡に移り住みました。

明治期の軍人としての活躍

明治4年（1871年）には、大川正次郎と共に日本陸軍に入隊します。この頃、彼の軍人としてのキャリアは更なる発展を遂げることとなります。明治10年（1877年）の西南戦争においては、別働第二旅団に所属し、人吉攻防戦に参加します。この戦いでは、彼は熊本県球磨郡瀬戸山で戦死し、28歳の若さでその生涯を閉じました。

彼の死後、大鳥の墓碑文には「君少ニツ捷敏豁達小事ヲ屠セズ」とあり、滝川の優れた勇気と戦歴を称える言葉が刻まれています。滝川具綏の人生は、江戸時代の活発な政治情勢の中で、転機を経ながらも軍人としての道を歩んだ一人の武士の物語です。

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