澤勇智和

元力士 澤勇 智和

澤勇 智和（さわいさむ ともかず、1977年2月7日 - ）は、東京都品川区出身の元大相撲力士です。式秀部屋に所属し、本名を澤原 知和（さわはら ともかず）と言います。身長167.5cm、体重106.2kg。最高位は東序二段53枚目。好物は桃です。

入門と初期の苦難

相撲界に入門したのは1992年7月場所。本名の澤原で初土俵を踏みました。序ノ口で勝ち越しを経験しましたが、序二段に昇進した1993年1月場所で全敗。続く3月場所では頸椎の負傷により長期休場し、番付外へと落ちました。約2年後の1994年11月場所で前相撲から復帰。番付復帰を果たした1995年1月場所前に、部屋と出身地にちなんだ「式乃川」（しきのかわ）に改名し、再出発を切りました。

幕下以下の長い道のり

式乃川としての土俵生活は、主に序ノ口と序二段を行き来するものでした。目覚ましい成績を挙げることは少なく、一度も6勝以上は記録していません。5勝2敗も2回のみ。連続勝ち越しも最長2場所という記録です。年間勝率も初土俵場所以降は5割に達したことがありませんでした。

しかし、土俵に上がり続けること自体が彼の真骨頂でした。初土俵から11年後の2003年5月場所には、現役最年長・最古参の序ノ口力士となります。序二段の番付を上げるのにも時間を要し、自己最高位の東序二段91枚目到達は初土俵から12年後の2004年7月場所で、そのために25場所を費やしました。

個性的な改名と一時の上昇

2013年、師匠が代わったのを機に、大きな改名を行います。好物の桃と、ファンである嗣永桃子さんの愛称「ももち」から「桃智桜」（ももちざくら）、下の名は「五郎丸」としました。これは師匠や嗣永さん本人の承諾を得て実現したユニークな四股名です。改名後、2014年1月場所で3年ぶりの勝ち越し。翌3月場所では37歳にして自己最高位を更新し、さらに7月場所では生涯最高位となる東序二段53枚目まで番付を上げました。

長期低迷と「澤勇」襲名、そして記録樹立

最高位到達後、再び成績が低迷。長期にわたる負け越しが続き、全敗も複数回記録しました。2018年1月場所前に、亡き父の演歌歌手としての芸名「澤勇」を受け継ぎ、「澤勇 智和」（さわいさむ ともかず）に再改名。父と共に土俵で戦う、そしてファンに応援してもらい続けたいという思いが込められました。

この「澤勇」襲名場所で、彼は歴代最多となる序ノ口在位95場所を記録します。また、2022年1月場所に華吹が引退した後は、相撲界で最も古参の現役力士となりました。2021年1月場所では43歳11か月で前相撲に出場し、史上最年長記録を樹立。2022年7月場所では、史上初の東大出身力士・須山（現・須山）の本割デビュー戦の相手を務めました。

現役引退と第二の人生へ

長年にわたり、ひたむきに土俵に上がり続けた澤勇も、ついに現役生活に幕を下ろします。2025年5月場所千秋楽、序ノ口での一番を最後に引退を表明しました。通算成績は178場所で406勝860敗31休。特に序ノ口在位は134場所に及び、その記録は相撲史に残るものです。引退後は、千葉県茂原市の介護施設で調理関係の仕事に就く予定とのこと。土俵で見せた粘り強さを胸に、新たな人生を歩み始めます。

主な記録

序ノ口から序二段への昇進回数：30回
序ノ口在位場所数：134場所（史上最多）
幕下以下の全敗回数：17回
前相撲の最年長出場記録：43歳11か月

改名歴

澤原 知和（1992年7月場所 - 1994年11月場所）
式乃川 知和（1995年1月場所 - 2013年7月場所）
桃智桜 五郎丸（2013年9月場所 - 2017年11月場所）
澤勇 智和（2018年1月場所 - 2025年5月場所）

もう一度検索