澤宣嘉

澤 宣嘉（さわ のぶよし）の生涯と業績

澤宣嘉は、幕末の日本において重要な役割を果たした公卿の一人です。彼は天保6年（1836年）、公卿である姉小路公遂の五男として生まれました。成長するにつれ、彼は澤為量の娘である藤子と結婚し、養子となります。彼の官職は従三位・右衛門権佐とされており、澤家の8代目当主でもありました。

政治活動と尊皇攘夷

澤宣嘉は、安政5年（1858年）に日米修好通商条約が締結される際、養父である澤為量と共に勅許に反対し、廷臣八十八卿列参事件に関与しました。その後、朝廷内では尊皇攘夷派の活動に従事し、幕末の動乱に深く関わります。

文久3年（1863年）には、会津藩と薩摩藩が協力して長州藩が京都から追放される八月十八日の政変を受けて、朝廷から追放され、京都を離れることになります。彼は長州へ逃れ、その後各地に潜伏します。同年10月には平野国臣に擁立されて但馬国生野で挙兵するも、3日で失敗し、仲間と共に四国へ逃げ込みました。

幕末の動乱と再起

その後、元治元年（1864年）6月まで三木左三らの保護を受けていましたが、三条実美の指示により再び長州へ逃れることになります。逃避行の最中、彼の歌や辞世の句が残されており、文人としての素養も感じさせるエピソードがあります。

1897年の王政復古後には、参与や九州鎮撫総督などの要職を歴任し、明治2年（1869年）には外務卿の地位に就きました。外交に携わり、日本とオーストリア＝ハンガリー二重帝国との間で初めての条約である日墺修好通商航海条約を締結しました。この条約は、著しい不平等条約であったため、後の条約改正の重要な目標となります。

外交官としての業績

澤宣嘉は明治3年（1870年）に、外務卿として条約改正交渉の開始を通告するなど、外交面での重要な貢献を果たしました。しかし、彼はその直前に38歳で病死し、ロシア公使の役には急遽榎本武揚が任命されることになりました。

晩年と影響

彼の任期中、澤宣嘉は長崎におけるキリシタンたちの改宗問題にも関与しました。彼は中心人物に対する厳罰を提案するなど、過激な施策が支持を失う原因ともなりました。また、彼自身が早期に亡くなったこともあり、明治政府内での影響力は限られたものとなりました。

家族と系譜

澤宣嘉は、父に姉小路公遂、母に三条泰を持ち、養父には澤為量がいます。正室は澤藤子であり、その娘は歴史上の重要家系に名を残すこととなります。彼の系譜には多くの公卿や士族が存在し、明治時代の甦る政治についてもその影響が見て取れます。


このように澤宣嘉は幕末の動乱の中で尊皇攘夷派として活躍し、明治期の外交に大きな影響を与えた公卿でした。彼の業績とその後の影響は、明治政府の基盤を築く一助となるものであり、今なお評価され続けています。

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