濁水渓

濁水渓：台湾最長の河川

濁水渓（だくすいけい）は、台湾中部を流れる台湾で最も長い河川です。流域面積は高屏渓に次いで2番目に広く、台湾の重要な水資源となっています。

地理

濁水渓の源流は、中央山脈の合歓山と合歓山東峰の間にある佐久間鞍部です。源流から主に南西方向に流れ、万大渓などの支流を合わせながら南の玉山方面から流れる丹大渓と合流します。この合流地点から西へと流れを変えます。

上流部では支流により小規模な河谷平野が形成されており、日月潭からの支流や陳有蘭渓と合流、阿里山山脈を抜けて、南から流れる清水渓と合流すると平野部に到達します。

平野部では、南北に分流しながら西へと流れ、広い扇状地を形成し、台湾海峡へと注ぎます。この扇状地は台南平原の北部を占め、本流の北側は彰化県、南側は雲林県の主要部分となっています。

流域の平野は肥沃な農業地帯であり、清の時代に対岸の福建省や浙江省からの移民による開拓が進められました。水利に恵まれているため、コメの二期作や小麦の栽培が盛んです。分流を利用して網目状に張り巡らされた水路によって市街が発達し、人口密度も高くなっています。2007年現在で彰化県は台湾で最も人口密度の高い県となっています。

河川名の由来

濁水渓という名前は、源流部で黒い粘板岩の粉末が混ざり、急流のために沈殿せずに水が濁ったまま流れることに由来します。下流部には多量の黒泥が堆積し、かつて多くの人々が渡河に苦労した記録も残っています。

平時には多数の分流が伏流水となり涸れ川となっていますが、降雨があると、濁流となって洪水が発生し、下流の平野を埋め尽くすことがありました。1898年（明治31年）には大洪水により流路が変わり、新たな流路と古い流路に堆積した細かい砂が、冬の乾燥期には北東からの強風によって吹き上げられ、南方の田園地帯を広範囲に埋めてしまう被害が発生したとされています。

主な支流

下流から順に主な支流を以下に示します。

清水渓
水里渓
陳有蘭渓
丹大渓
郡大渓
卡社渓
万大渓
霧社渓 - 濁水渓の上流部

主な分流

濁水渓の主な分流は以下の通りです。

東螺渓（旧濁水渓）
西螺渓 - 濁水渓下流の本流部
新虎尾渓
旧虎尾渓
北港渓 - 本来は別の河川でしたが、清時代の濁水渓の洪水により下流域が濁水渓の分流と化しました。その後の締切工事により再び独立水系となり、現在は用排水路でのみ接続しています。

河川施設（支流を含む）

霧社ダム（万大ダム）
日月潭 - 台湾最大の天然湖。濁水渓とは導水管（後に支流）で繋がっており、日月潭水力発電所が設置されています。

主な橋梁

下流から順に主な橋梁を以下に示します。

西浜大橋（台17線、台61線共用）
自強大橋（台19線）
西螺大橋
渓州大橋（台1線）
中沙大橋（中山高速公路）
台鉄濁水渓橋（台鉄西部幹線）
国道3号濁水渓橋（フォルモサ高速公路）
名竹大橋（台3線）
龍神橋（台21線）
孫海橋（台16線）

参考文献

『日本大百科全書 14』、小学館、1987年初版/1994年二版、687頁「濁水渓」項（劉進慶著）
『世界大百科事典 17』 平凡社、1988年初版/2007年改訂新版 229頁「濁水渓」項（秋山元秀著）
渡辺光、木内信蔵、山口恵一郎、式正英、正井泰夫、竹内啓一編 『世界地名大事典 7 アジア・アフリカⅡ』、朝倉書店、昭和49年、812頁「ツォスウェイチー」（濁水渓）項（陳国章著）
吉田東伍著 『増補 大日本地名辞書 北海道・樺太・琉球・台湾』、冨山房、明治42年初版/昭和45年増補版、731-732頁「濁水渓」項

関連項目

台湾の地理
* 台湾の河川の一覧

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