瀧安寺

瀧安寺：宝くじ発祥の地と豊かな歴史を刻む古刹

大阪府箕面市箕面公園に位置する瀧安寺は、本山修験宗の寺院です。箕面山を山号とし、古くから山岳霊場として信仰を集め、日本の宝くじ発祥の地としても広く知られています。

歴史と由緒

寺伝によれば、658年（一説には650年）、役小角によって箕面滝の下に堂が建立され、本尊の弁財天像が安置されました。当初は「箕面寺」と呼ばれていましたが、後に「瀧安寺」と改められました。平安時代の歌集『梁塵秘抄』には、瀧安寺を詠んだ歌が収められており、その歴史の古さと聖地としての地位を示しています。

後醍醐天皇の隠岐島流しや、護良親王の帰還祈祷など、日本の歴史に深く関わってきた瀧安寺は、空海や日蓮、蓮如といった著名な僧侶も修行に訪れたと伝えられています。現在も護摩法要が盛んに行われています。

室町時代末期には織田信長の兵火によって焼失しましたが、江戸時代には後水尾天皇の援助によって現在地に再建されました。山門は光格天皇が京都御所から移築したもので、弁財天本堂も後水尾天皇の勅命によって建立された貴重な建築物です。

弁財天を祀る寺として、芸能関係者からの信仰も篤く、近松門左衛門や坂田藤十郎ら上方歌舞伎関係者による大般若経の奉納など、文化面にも貢献してきました。

宝くじ発祥の地「箕面富」

瀧安寺は、日本の宝くじの起源である「箕面富」発祥の地としても有名です。その歴史は古く、平安時代中期に編纂された『夫木和歌抄』に収録されている歌にも、瀧安寺で行われていた富籤の様子が記されています。これは、約950年前にはすでに富籤の原型があったことを示唆しています。

鎌倉時代から江戸時代にかけて盛んに行われていた箕面富は、金銭ではなくお守りを授けるものでした。江戸時代には『摂津名所図会』にもその賑わいが描かれており、寺社が修繕資金を集めるための手段として広く行われていました。明治時代初期に中止されましたが、2009年に「万人講くじ」として復活し、現在も毎年10月10日に開催されています。

見どころ

瀧安寺には、多くの見どころがあります。後水尾天皇の寄進による本堂（弁天堂）は、奥殿と拝殿からなる神社形式の建物で、本尊の弁財天像をはじめ、毘沙門天像や大黒天像が安置されています。行者堂（開山堂）には役小角像が、観音堂には重要文化財である如意輪観音像が安置されています。

また、境内には、桃山時代の富籤箱や、近松門左衛門・坂田藤十郎奉納の大般若経など、数多くの貴重な文化財が保存されています。これらの文化財は、瀧安寺の長い歴史と文化を物語っています。

交通アクセス

阪急箕面線箕面駅から徒歩15分。

まとめ

瀧安寺は、歴史と文化、そして信仰が深く根付いた寺院です。宝くじ発祥の地としての側面だけでなく、山岳霊場としての役割や、多くの文化財を有する歴史的建造物としても、訪れる価値のある場所です。箕面を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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