灰礬柘榴石

灰礬柘榴石（かいばんざくろいし）

灰礬柘榴石は、ネソケイ酸塩の一種で、柘榴石群に属する鉱物です。この鉱物は一般にグロッシュラー（grossular）とも呼ばれ、その名前は西洋スグリの学名から由来しています。灰礬柘榴石の組成式は『Ca3Al2(SiO4)3』で、純粋なものは無色ですが、通常は少量の灰鉄柘榴石や灰鉻柘榴石成分を含み、これにより淡い褐色や緑色に見えることがあります。

特徴

灰礬柘榴石の屈折率は約1.74であり、密度やそれに伴う固溶した成分の比率によって変動することがあります。カルシウムイオンのイオン半径が大きいため、他の柘榴石、特に苦礬柘榴石や鉄礬柘榴石との固溶体形成は難しい傾向があります。一般的に、この鉱物は菱形十二面体や偏菱二十四面体の自形結晶を形成しやすいですが、菱形十二面体が最も一般的です。灰鉄柘榴石との識別は難しい場合もありますが、灰鉄柘榴石は高い磁化率を持つため、物理的性質を比較することで区別できます。

産出

灰礬柘榴石は、さまざまな地質環境で産出されます。スカルン岩および蛇紋岩中にも見られ、変成岩の一部としても存在します。特に熱力学的には常圧下で不安定であり、高圧環境下で安定するため、人工合成は難しいものとなっています。合成に関する最適条件は、約20000気圧で900℃とされていますが、常圧下では1080℃以上で分解し、ゲーレナイト、珪灰石、灰長石の混合物になります。

産地

灰礬柘榴石の著名な産地には、ケニア、イタリア、スリランカ、メキシコ、そしてカナダのケベック州などがあります。特にケニアでは、クロムを含む濃い緑色の品種が産出され、透明度の高いものには「ツァボライト」という名の宝石としての評価があります。

日本国内では、福島県伊達市の霊山地域や、長野県川上村に位置する甲武信鉱山におけるスカルン中、さらに福岡県篠栗町の蛇紋岩中でも見つかります。これらの地域からは、様々な特性を持つ灰礬柘榴石が産出されており、鉱物ファンやコレクターにとって興味深い存在となっています。

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