固定局

固定局とは

固定局とは、無線局の一種であり、総務省令電波法施行規則において「固定業務を行う無線局」と定義されています。ここでいう固定業務とは、「一定の固定地点の間の無線通信業務」を指し、陸上移動中継局との通信は含まれません。つまり、固定局は、特定の場所から動かず、通信相手もまた固定された無線局である必要があります。

概要

固定局は、陸上に設置された無線局ですが、単に場所が固定されているだけでなく、通信する相手も固定されている点が特徴です。移動体との通信は、基地局や海岸局、航空局などを介して行われます。固定局は、マイクロ波を用いた固定マイクロ通信が主な用途で、数キロから数十キロ離れた地点間の通信を担います。具体的には、電話回線の中継、テレビジョン基幹放送の中継、地方公共団体間のネットワーク構築などに利用されています。

電気通信事業者では、一つの無線設備で固定局と基地局の両方の免許を取得することがあります。また、固定局の局舎は、基地局や地上基幹放送の送信所、中継局などに併設されることもあります。同報系防災行政無線にも利用され、役所から屋外拡声器に至るまで、固定地点間の通信を担っています。

免許

電波法により、外国籍の者には原則として固定局の免許は与えられません。しかし、例外として、特定の固定地点間での無線通信を行う無線局で、実験用、アマチュア用、大使館・公使館・領事館の公用、電気通信事業用以外のものや、日本政府が同種の無線局開設を認める国の公館によるもの、電気通信事業用のものについては免許が認められる場合があります。

固定局の種別コードは「FX」で、免許の有効期間は免許の日から5年です。ただし、初回に限り、有効期限は5年以内の特定の11月30日となります。技術基準に適合した無線設備を使用する場合は、簡易な免許手続きが適用され、予備免許や落成検査が省略されます。

特定無線設備の制度化以前は、検定に合格した機器が簡易な免許手続の対象とされていました。

用途

固定局は、防災行政用、水防・水利・道路用、電気通信業務用などに多く利用されています。

旧技術基準の機器の使用

無線設備規則の改正により、旧技術基準に基づく無線設備の免許は、2017年11月30日までとされました。使用期限は当初2022年11月30日でしたが、コロナ禍により「当分の間」延期されています。対象となるのは、2005年11月30日までに製造された機器、検定合格機器、または認証された適合表示無線設備です。経過措置として、2007年11月30日までに製造された機器も対象となります。検定合格機器は、設置が継続される限り検定合格の効力が有効であるため、再免許も可能です。

運用

固定局の運用は、無線局運用規則の第4章に定められています。

操作

固定局は、原則として第三級陸上特殊無線技士以上の資格を持つ無線従事者による管理が必要です。地上基幹放送局の制御用固定局では、空中線電力2kWを超える場合は第一級陸上無線技術士、それ以外の場合は第二級陸上無線技術士以上の資格が必要です。ただし、一部の簡易な操作については、無線従事者を必要としません。例えば、特定無線局以外の陸上に開設した無線局で、海岸局、航空局、船上通信局など以外の無線局の通信操作や、プレストーク方式による無線電話の送受切替装置の技術操作などが該当します。

検査

落成検査は、適合表示無線設備を用いた場合は省略されます。それ以外の場合でも、登録検査等事業者による点検で一部省略が可能です。定期検査は、原則として5年ごとに行われますが、一部の無線局は対象外となります。また、登録検査等事業者による検査が可能です。変更検査は、落成検査と同様の扱いとなります。

沿革

固定局の定義は、1950年の電波法施行規則制定時に定められました。当初の免許の有効期間は5年で、最初の再免許は1952年12月1日に行われました。その後、放送中継業務が固定業務に統合され、外国公館が固定局を開設できるようになりました。また、電波利用料制度の導入や、携帯電話事業における基地局と固定局の取り扱いの変更など、様々な変遷を経て現在に至ります。2011年には、外国籍の者が電気通信事業用以外の固定局を開設できるようになりました。

その他

電波法令上の定義とは別に、移動しない無線局を固定局と呼ぶことがあります。例えば、アマチュア局で空中線電力が50Wを超えるものや、特定ラジオマイクで免許状の移動範囲が限定されたものが該当します。

関連項目

* 無線局

外部リンク

総務省 電波利用ホームページ

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