陸上局

陸上局とは

陸上局は、無線局の種別の一つであり、電波法によって定義されています。具体的には、「海岸局、航空局、基地局、携帯基地局、無線呼出局、陸上移動中継局その他移動中の運用を目的としない移動業務を行う無線局」と規定されています。これは、陸上に固定して設置され、移動を目的としない無線局を指します。

定義と範囲

陸上局は、単に陸上にある無線局というわけではありません。電波法施行規則第3条第1項第5号に規定される移動業務に携わる無線局であり、陸上に固定されたものを指します。陸上局は、電波法施行令第3条第2項第8号において、「海岸局、海岸地球局、船舶局、船舶地球局、航空局、航空地球局、航空機局、航空機地球局、無線航行局及び基幹放送局以外の無線局」とも定義されています。

この「陸上の無線局」という概念は、同条第1項の「アマチュア無線局以外の無線局の無線設備の操作及びその監督の範囲」に適用されるものであり、陸上局と完全に一致するわけではありません。また、必ずしも陸上にあるとは限らず、移動するものも含まれる場合があります。

陸上局の種類

陸上局には、主に以下の6種類があります。

基地局
携帯基地局
無線呼出局
陸上移動中継局

これらの無線局は、それぞれ異なる移動業務に対応しています。具体的には、海上移動業務、航空移動業務、陸上移動業務、携帯移動業務、無線呼出業務といったものがあります。これらの業務と無線局の種別との関係は、以下の図のように整理できます。


　　　　　　（種別）　　　　　　（業務）

　　　┏━━海岸局━━━━━━━海上移動業務━━━━━━┓
　　　┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　┣━━航空局━━━━━━━航空移動業務━━━━━━┫
　　　┃　　　　　　　　　　　　┣航空移動（Ｒ）業務　　┃
　　　┃　　　　　　　　　　　　┗航空移動（ＯＲ）業務　┃
　　　┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
陸上局╋━┳基地局━━━━┳━━陸上移動業務━━━━━━╋移動業務
　　　┃　┃　　　　　　　┃　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　┃　┗陸上移動中継局┛　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　┣━━携帯基地局━━━━━携帯移動業務━━━━━━┫
　　　┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　┗━━無線呼出局━━━━━無線呼出業務━━━━━━┛

歴史的変遷

陸上局の定義は、電波法の制定当初から変化してきました。

1950年（昭和25年）：電波法施行規則制定時、「移動局と通信を行うため陸上に開設する移動しない無線局」と定義されました。
1958年（昭和33年）：定義が「海岸局、航空局、基地局、携帯基地局その他移動中の運用を目的としない移動業務を行う無線局」と変更されました。この際、携帯局、携帯移動業務も同時に定義されています。
1968年（昭和43年）：定義に「信号報知局」が追加されました。
1982年（昭和57年）：定義に「陸上移動中継局」が追加されました。
1985年（昭和60年）：信号報知局が「無線呼出局」に変更され、現行の定義に至ります。

当初は、船舶無線や航空無線に関わる陸上の局、または陸上での移動体通信の親局を想定して定義されていました。その後、携帯電話の普及に伴い、携帯基地局や陸上移動中継局といった種別が追加されていきました。

無線従事者の操作範囲

「陸上の無線局」は、第一級・第二級・第三級陸上特殊無線技士の「操作の範囲」にも用いられています。陸上特殊無線技士は、船舶無線、航空無線、基幹放送に関わる無線局を操作することはできません。

その他の注意点

電波法令には、「陸上に開設する無線局」や「陸上に開設した無線局」といった文言がありますが、これらは陸上で運用する無線局全般を指し、陸上局や陸上の無線局と必ずしも一致するものではありません。

関連情報

陸上局についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の関連情報を参照してください。

移動業務
無線局
移動局

これらの情報と合わせて、陸上局の理解を深めることをおすすめします。

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