熊蜂の飛行

熊蜂の飛行

「熊蜂の飛行」（くまばちのひこう、ロシア語: Полет шмеля、英語: Flight of the Bumblebee）は、ロシアの作曲家リムスキー＝コルサコフによって作曲された、非常に有名な楽曲です。

概要

この曲は、1889年から1890年にかけて作曲されたオペラ『サルタン皇帝』の第3幕、第2場への間奏曲として使用されました。オペラの原作は、ロシアの有名な詩人アレクサンドル・プーシキンの作品に基づいています。物語の中で、主人公であるグヴィドン王子が魔法の力によって蜂に変身し、都へと飛び立つ場面でこの音楽が流れます。その後、蜂が悪役の姉妹を襲うシーンでも同じ音楽が使用されています。

「熊蜂の飛行」は、その親しみやすい曲調と、熊蜂の羽音を模したかのような旋律が特徴で、独奏用などにも編曲され、広く親しまれています。プーシキンの原作では、グヴィドン王子は3回昆虫に変身しますが（蚊、蝿、蜂）、リムスキー＝コルサコフのオペラでは蜂への変身のみが採用されています。

編成

「熊蜂の飛行」は、演奏者の高度なテクニックを示すために、様々な楽器で演奏されます。ヴァイオリン、チェロ、トランペット、胡弓、エレキギター、マリンバ、トロンボーン、チューバなど、様々な楽器のために編曲・独奏されています。

標準的な編成は以下の通りです。

フルート 2
オーボエ 2
コーラングレ
クラリネット 2
ファゴット 2
ホルン 4
トランペット 2
トロンボーン 3
チューバ
ティンパニ
シンバル
弦五部

主な編曲

「熊蜂の飛行」は、様々な形で編曲されています。

ピアノ独奏
セルゲイ・ラフマニノフ - ピアノ独奏用に編曲。
ジョルジュ・シフラ - ピアノ独奏用に編曲。非常に難易度の高い曲として知られています。
マルカンドレ・アムラン - この曲を基にした練習曲を作曲。
ヤッシャ・ハイフェッツ - ヴァイオリン独奏（ピアノ伴奏）用に編曲。
フレディ・マーチン楽団 - 「バンブル・ブギー」（Bumble Boogie）というタイトルのジャズアレンジ。
マノウォー - 「Sting of the Bumblebee」というタイトルで、ジョーイ・ディマイオが歪んだベースを軸にしたアレンジを施した。アルバム「キングス・オブ・メタル」（1988年）に収録。
エクストリーム - この曲を基にした「Flight of the Wounded Bumblebee」をエレクトリック・ギターで演奏。
ブライアン・セッツァー・オーケストラ「ウルフギャングズ・ビッグ・ナイト・アウト（2007）」

使用例

「熊蜂の飛行」は、映画、テレビ番組、コンピュータゲームなど、さまざまなメディアで使用されています。

映画・放送
グリーン・ホーネット - ラジオ版(1936年-1952年)でテーマ曲として使用。TVドラマ版(1966年-1967年)や映画版(2011年)ではビリー・メイがアレンジしたもの（俗に「Green Bee」と呼ばれる）がテーマ曲として使われ、映画「キル・ビル」(2003年)のサウンドトラックにも用いられています。
黄金狂時代 - チャーリー・チャップリンの映画のサウンド版で、吹雪のシーンなどで使用。(1942年)
メロディ・タイム - ディズニー作品。アレンジ版「Bumble Boogie」が「クマンバチ・ブギ」のシークエンスに使用。いたずら好きで怒りっぽいクマンバチが楽器の形をした花やイモムシに襲われるアニメーション。
[音楽ファンタジー・ゆめ] - NHKのテレビ番組。第59回で使用。(1995年1月16日放送)音楽ファンタジー・ゆめでは、「くまばちの飛行」と表記。
ブラックニッカ - ニッカウヰスキーの製品CMのBGMとして使用。編曲は樋口康雄。(1999年)
ロシア語会話 - NHKのテレビ番組。テーマ曲として採用され、毎回様々なアレンジが流れます。(2007年)
コンピュータゲーム
パロディウス - コナミのシューティングゲームシリーズ。「パロディウス 〜タコは地球を救う〜」(1988年)から「セクシーパロディウス」(1996年)までの5作品でボス戦BGMとしてアレンジされたものが使用。
テトラ・スター - タイトーのシューティングゲーム。BGMとしてアレンジされたものが使用。(1991年)
pop'n music 10 - コナミの音楽ゲーム。収録曲「Doll's sight（ジャンル「クラシック10」）」の中でこの曲の一部が使用。(2004年)
VitaminX - ディースリー・パブリッシャーの恋愛アドベンチャーゲーム。登場人物である仙道清春のテーマ曲としてアレンジされたものが使用。(2007年)
TETRIS 99 - 任天堂の対戦型パズルゲーム。対戦中、残り10人以下のときのBGMとしてアレンジされたものが使用。(2019年)

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