爆弾男といわれるあいつ

『爆弾男といわれるあいつ』（ばくだんおとこといわれるあいつ）は、1967年6月28日に封切られた、日本の劇映画です。日活によって製作された本作は、鋭い演出手腕で知られる長谷部安春が監督を務め、当時のトップスターの一人であった小林旭が主演を務めました。

この作品は、小林旭が主演を務めたことで人気を博した一連の「あいつシリーズ」の第4作目に位置づけられ、シリーズの締めくくりとなる最終章として製作されました。

物語は、主人公の都築浩介が長い旅から東京へ戻ってくるところから幕を開けます。彼が耳にしたのは、驚くべき報せでした。かつての旧知の仲であった魚住が、先日発生した現金輸送車襲撃事件に関与し、その渦中で命を落としたというのです。都築は、盟友が犯罪に手を染めたこと、そして不可解なその死に疑問を抱き、真相を突き止めるべく事件の舞台である長岡へと飛びます。そこで彼は、魚住の死を取り巻く複雑な人間関係や、事件の裏に隠された意外な真実と向き合うことになります。旧友の潔白を信じ、あるいはその死の真相を明らかにするために、都築は危険な世界へと足を踏み入れ、孤立無援の戦いを繰り広げます。ハードボイルドなタッチで描かれる主人公の孤独な追跡劇が、観客を引き込みます。

主人公・都築浩介を演じるのは、主演の小林旭です。彼を取り巻く個性豊かな登場人物たちには、実力派の俳優陣が多数起用されています。都築の前に立ちはだかる男、白木役には内田良平。物語に深みを与える深町健役には岡崎二朗。冷徹な雰囲気を纏う滑川竜次役には青木義朗。そして、高品格が星原を演じ、物語の重要な要素を担います。また、後に数々の名作に出演することになる若手時代の藤竜也が田沼明夫として登場しており、貴重な姿を見ることができます。事件の鍵を握る人物の一人、魚住麻子を演じるのは嘉手納清美です。その他、バラエティ豊かなキャストとして、熊五郎役の東京ぼん太をはじめ、木浦佑三、新山ノリロー・新山トリローといったお笑い芸人、そして山田禅二、加原武門、青木富夫、英原穣二、久遠利三、黒田剛、長弘、平塚仁郎、椿洋子、瞳美沙、伊藤浩、戸波志朗など、日活を支えた多数の脇役俳優が出演し、作品にリアリティと厚みを与えています。ベテランの西村晃が筧泰造役で出演し、物語に重厚感を与えています。

本作の制作を支えたスタッフも、当時の日本映画界を代表する面々が揃っています。監督は、シャープな演出で知られる長谷部安春。脚本は、下飯坂菊馬と藤井鷹史が共同で手掛け、主人公の葛藤とサスペンスフルな展開を見事に描き出しました。企画は友田二郎が担当。そして、数多くの日活アクション作品の音楽を手がけた鏑木創が音楽を担当し、映画のムードを効果的に盛り上げています。また、迫力あるアクションシーンを演出するため、技斗を高瀬将敏が、振付を灰原明彦がそれぞれ担当しました。

この映画が公開された際、劇場では『関東も広うござんす』が併映作品として上映されました。この作品は、任侠映画を得意とした野口晴康が監督し、高橋英樹が主演を務めた作品です。特筆すべきは、この『関東も広うござんす』が、惜しくも野口監督にとっての遺作となったことです。アクションと任侠、異なる魅力を持つ2作品が同時に提供されることで、当時の映画館は多くの観客で賑わいました。

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