爾朱度律

爾朱度律（じしゅ どりつ）

爾朱度律は、北魏時代の軍人であり、爾朱栄の従弟にあたる人物です。彼の生涯は、北魏末期の動乱と深く関わっています。

生涯

爾朱度律は、朴訥で寡黙な性格であったと伝えられています。彼は統軍として、爾朱栄の数々の征戦に従軍しました。528年には、その功績により安西将軍・光禄大夫に任ぜられ、楽郷県開国伯に封じられました。その後、安北将軍・朔州刺史へと転じ、さらに散騎常侍・右衛将軍といった位も加えられました。衛将軍・左光禄大夫となると、京畿大都督も兼任するようになります。

530年、爾朱栄が殺害されるという事件が起こると、爾朱度律は爾朱世隆とともに晋陽へ赴き、長広王元曄を擁立します。これにより、彼は太尉公・四面大都督という要職に就き、常山王に封ぜられました。爾朱兆とともに洛陽に入り、爾朱兆が晋陽へ帰還した後は、洛陽の留守を任されました。

531年、高歓が爾朱氏に対して挙兵すると、爾朱度律は使持節・侍中・大将軍・太尉に任ぜられ、尚書令・東北道大行台を兼ねて、爾朱仲遠とともに高歓との戦いに臨みました。しかし、高歓は爾朱氏の内部の離間を策略し、爾朱度律は爾朱兆に対して猜疑心を抱くようになり、その結果、戦いに敗れてしまいます。敗戦の知らせを聞いた彼の母である山氏は、度律が殺されるのを見たくないと病に倒れ、亡くなりました。

532年、大行台の位を解かれた爾朱度律は、韓陵で高歓軍と再び戦いますが、またも敗北を喫します。斛斯椿が河梁に駐屯していたため、度律はこれを攻めようとしましたが、大雨に見舞われ、兵士や馬は疲弊困憊し、戦うことさえままなりませんでした。やむなく㶟波津に撤退したところを捕らえられてしまいます。斛斯椿は度律の身柄を高歓に引き渡し、高歓は彼を洛陽へ送らせ、都の市で斬首刑に処しました。

爾朱度律は、爾朱栄の側近として権勢を誇りましたが、高歓の策略によって内部崩壊し、悲劇的な最期を遂げました。彼の生涯は、北魏末期の政争の激しさを物語るものと言えるでしょう。

伝記資料

『魏書』巻75 列伝第63
『北史』巻48 列伝第36

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