物部小事

物部小事（もののべ の おごと）

概要

物部小事（生没年不詳）は、古墳時代（6世紀前期）に活躍したとされる豪族であり、物部連の一人です。姓は連。

『先代旧事本紀』「天孫本紀」によると、宇摩志麻治命の12世の孫にあたり、志陀連、柴垣連、田井連などの祖とされています。また、『続日本紀』延暦5年（786年）10月21日条には、外従五位下の位階を授かった常陸信太郡大領の物部志太連大成がおり、彼を小事の子孫とする説もあります。

さらに、『続日本後紀』には、物部小事が坂東を征討し、その功績によって下総国に匝瑳郡が設置されたとする記事があります。これにより、物部匝瑳氏（匝瑳連）の祖と位置づけられています。物部匝瑳氏は、鎮守府の高官を多数輩出しており、足継・熊猪・末守などが鎮守将軍に任じられています。

物部小事と各地の関係

これらの記述から、信太連（志陀連・志太連）が拠点とした常陸国信太郡と、匝瑳連が拠点とした下総国匝瑳郡の間に位置する下総国香取郡や香取神宮と物部小事の関係が指摘されています。特に、現在の千葉県匝瑳市にある老尾神社の祭神を物部小事とする説や、香取神宮の大禰宜である香取連を物部氏とする説も存在します。

これらの説は、物部小事が広範な地域に影響力を持ち、その子孫たちが各地で勢力を拡大したことを示唆しています。特に、常陸国と下総国における物部氏の活動は、古代東国社会における彼らの役割を理解する上で重要な手がかりとなります。

脚注

『先代旧事本紀』
『続日本紀』
『続日本後紀』

参考文献

谷川健一『日本の神々-神社と聖地 11』 白水社、2000年、ISBN 4-560-02511-8、265-267頁

関連項目

飛鳥時代以前の人物一覧
小川台古墳群 - 物部匝瑳氏の奥都城とする説もあります。

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