物部長真胆

物部 長真胆（もののべ の ながまい）について

物部長真胆、または稚桜部長真胆（わかさくらべ の ながまい）とは、日本の古代における豪族で、特に5世紀前半に活動していた人物です。彼の正確な生没年は不明ですが、その功績は日本の歴史において重要な位置を占めています。長真胆の姓は元々「連」であり、その後、「造」と改められました。

歴史的背景

『日本書紀』によると、履中天皇が3年の冬に磐余池で行った遊宴が、長真胆の名を広めるきっかけとなりました。この際、天皇の盃に季節外れの桜の花が混ざり、天皇はその花の出どころを不思議に思いました。そこで、長真胆がその花を探し出すことが命じられました。

彼は「掖上室山」（わきのかみのむろのやま）で桜の木を見つけ、天皇に献上しました。この場所は『和名類聚抄』に基づくと、現在の奈良県御所市室付近にあたります。天皇はこの桜の美しさを喜び、宮殿の名前を「磐余稚桜宮」と名付け、長真胆には「稚桜部造」という新しい氏姓を授けました。

稚桜部造の由来

長真胆の功績によって新たに設立された「稚桜部造」は、桜にまつわる伝説を持ちながら発展しました。同じく「稚桜部臣」として名を連ねる膳余磯も、長真胆同様に天皇からの特別な恩恵を受けました。彼らの故事は、この時代の日本における権威や名誉の象徴とされ、後の記録に残されています。

『古事記』には長真胆の詳細な記述は少ないものの、物部氏一族が後の時代にどのように位置づけられていたかを伺わせるものとなっています。

その後の影響

また、長真胆の後に続く若桜部造氏は、『新撰姓氏録』によれば、神饒速日命の三世孫である出雲色男命の末裔として記録されています。これにより、長真胆は日本古代の氏族システムの中で重要な役割を果たしたことがわかります。

684年の天武天皇の時代にも、八色の姓において新しい姓を与えられた形跡はありませんが、長真胆の影響は依然として残り続けました。

参考文献

長真胆に関する情報は多くの歴史書に記録されています。その中での代表的なものには、岩波文庫の『日本書紀』や、講談社学術文庫の『日本書紀全現代語訳』、小学館の『古事記完訳日本の古典』などがあり、これらは古代日本の理解を深めるうえで貴重な資料となっています。これを通じて、物部長真胆の歴史的意義について考察することができるのです。

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