玉作湯神社

玉作湯神社について

玉作湯神社（たまつくりゆじんじゃ）は、島根県松江市玉湯町玉造に位置する古社です。この神社は、古くは「玉作湯社」や「由宇社」として『出雲国風土記』にも記録されており、延喜式神名帳にも記載される由緒ある神社です。地元では「玉造湯神社」とも呼ばれています。神社は、玉造温泉の近くに位置しており、温泉の守り神としても崇敬されています。

祭神

玉作湯神社では、以下の四柱の神々が祀られています。

櫛明玉神（くしあかるたまのみこと）: 玉作の神として信仰されています。
大名持神（おおなもちのかみ）: 大国主神としても知られ、国造りの神、温泉の神としても信仰されています。
少彦名神（すくなひこなのかみ）: 医薬や温泉の神として知られています。
五十猛神（いそたけるのかみ）: 『延喜式』に記される「同社坐韓国伊太氐神社」の祭神とされています。

これらの祭神のうち、特に櫛明玉神は、玉作部の祖神とされ、この地が古代から玉作の中心地であったことを示しています。また、大名持神と少彦名神は、温泉の神としての側面も持ち、玉造温泉の信仰と深く結びついています。五十猛神は、朝鮮半島からの渡来神と推測されています。

歴史

神社の創建時期ははっきりとは分かっていませんが、少なくとも奈良時代には存在していたことが『出雲国風土記』の記述から伺えます。

『出雲国風土記』: 733年頃に編纂された『出雲国風土記』には、「玉作湯社」と「由宇社」の名が記されています。
国史: 859年には「湯坐志去日女命」という神に神階が授けられた記録があります。871年には「湯神」にも神階が授けられたことが記録されています。
延喜式: 927年に編纂された『延喜式』には、「玉作湯神社」と「同社坐韓国伊太氐神社」が式内社として記載されています。
中世: 1252年には佐々木泰清からの寄進、1558年の棟札には「湯姫大明神」と記されています。
江戸時代: 松江藩からの崇敬を受け、藩主の参詣や代参が行われていました。1803年には松平治郷から「湖南玉造薬泉神社」の額が奉納されています。
近代: 明治維新後、「玉作湯神社」に社号を戻し、当初は村社でしたが、1928年に県社に昇格しました。

境内

玉作湯神社の境内には、以下のような見どころがあります。

鳥居: 一の鳥居には、若槻禮次郎の揮毫による扁額が掲げられています。
出雲玉作跡出土品収蔵庫: 古代の玉作りに関する貴重な資料が収蔵されており、一部は国の重要文化財に指定されています。
拝殿・本殿: 本殿は1857年に再建されたもので、大社造を変形した様式です。
御神水・願い石: 叶い石を使い、願いを込める参拝方法が伝えられています。
摂末社: 湯姫大明神社、金刀比羅神社、素鵞・記加羅志神社など、複数の摂末社があります。
玉造要害山城: 境内背後の丘陵には、山城跡が残っています。

祭事

主な祭事としては、夏祭り（7月15日）と例大祭（10月10日）があります。また、正月の二日間は、カニ汁やぜんざいなどのふるまいが行われます。

文化財

玉作湯神社には、多くの文化財が所蔵されています。

重要文化財: 出雲国玉作阯出土品一括（玉類、砥石など）が国の重要文化財に指定されています。
国の史跡: 玉作湯神社境内は、国の史跡「出雲玉作跡」の一部として指定されています。
県指定文化財: 玉造築山古墳が島根県指定文化財となっています。
市指定文化財: 上御入湯日記留や玉造古墓出土資料が松江市指定文化財となっています。

現地情報

所在地: 島根県松江市玉湯町玉造508
アクセス: JR玉造温泉駅からバスで玉造温泉バス停下車
* 周辺: 玉造温泉、出雲玉作史跡公園、出雲玉作資料館などがあります。

玉作湯神社は、古代の玉作り文化と温泉信仰が融合した歴史ある神社です。その豊かな歴史と文化に触れるために、ぜひ一度訪れてみてください。

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