王倫

王倫（おうりん）とは

王倫は、中国の著名な小説『水滸伝』に登場するキャラクターで、四大奇書の一つに数えられる作品の中では重要な役割を果たしています。彼は「白衣秀士」という渾名を持ち、その名は無位無官の書生、つまり官職を持たない知識人を意味しています。王倫は梁山泊の初代首領であったため、物語の中で彼の行動や思考は、後に続く好漢たちの運命にも影響を与えています。

生涯の概要

王倫は、昔に科挙を受けたものの、試験に失敗し、失意の中にいたところ、友人の杜遷とともに梁山泊に逃れて不良仲間となります。彼らはこの地で成長し、最終的には800人ほどの手下を抱えるまでに勢力を広げます。その一方で、王倫は物腰が柔らかく、人当たりも良い性格でした。

しかし、彼の内心は狭量であり、特に他者の能力を嫉み、自身の地位を守ることしか考えていませんでした。例えば、柴進が武勇に優れた林冲を梁山泊に入れようと推薦した際、王倫はあらゆる理由をつけて林冲の参加を阻もうとしました。この時、王倫は林冲と楊志の戦いを提案し、勝者のみが入山できるとしましたが、結果的に両者が互角に終わりました。それでもうっとうしい気持ちを抱えながら、彼は林冲の入山を許可しました。

権力欲と絶望の末に

また、他の好漢たち、すなわち晁蓋や呉用、公孫勝、劉唐などが入山を求めてきた際も、王倫は食糧不足を理由に資金を要求して追い払おうとします。しかし、林冲はこのような動きに強く反発し、口論が続く中で王倫は致命的な打撃を受けることになります。最終的に、王倫は林冲に斬り殺され、その後は晁蓋が新たに梁山泊の主となります。

王倫の位置付け

王倫は作品中でしばしば軽蔑される存在として描かれています。しかし、彼の行動は物語の進行において重要な要素であり、梁山泊という場所に無頼漢の根城を築いた点では、それなりに意義のあるキャラクターと言えます。結局のところ、王倫は悪役としての側面を持ちながらも、物語全体に不可欠な人物として位置づけられているのです。そのため、彼の生涯や性格を見つめ直すことは、物語の深層に触れることにもつながります。

王倫は、ただ単に成功を目指すだけでなく、自身の立場や意見を守ろうとする姿勢が、悲劇的な結末を迎える原因となったことから、読者に強い教訓を残す者でもあります。

もう一度検索