王玄策

王玄策の生涯と業績

王玄策（おう げんさく）は、唐の時代に活躍した文官であり、その生年と没年は不明です。彼は、太宗と高宗の2代にわたり仕官し、数多くの外交使節を務めました。特に名高いのは、インドのヴァルダナ朝への3度の使節派遣です。

天竺行への道

王玄策は、641年（貞観15年）から始まる唐と北インドのマガダ王国との交流の一翼を担うことになります。当時のマガダ国王ハルシャ・ヴァルダナ（戒日王）との関係構築を試み、641年には初回の使節が訪問されていました。王玄策は643年（貞観17年）に、副使として初めてインドへ渡ります。その時の正使は李義表であり、彼の帰国後、647年（貞観21年）には再度インドに赴き、正使を務めることになりました。

武力介入とその後

2回目のインド訪問では、待ち受けていたのはハルシャ王の死亡による混乱でした。王玄策は、チベットとネパールを通じて北インドに入ろうとしましたが、現地の混乱に巻き込まれ、ハルシャ王の臣下アラナシュに捕らえられてしまいます。しかし、彼は持ち前の知恵を活かし、援軍を募る檄文を発信し、吐蕃や泥婆羅から8千人を超える兵力をかき集めました。王玄策は、捕えられていた人質自由を目指して指揮を執り、アラナシュの軍勢に勝利を収めます。その後、彼はアラナシュを捕らえ、648年には帰国し報告を行いました。この成功によって、王玄策は朝散大夫に任命されました。

さらなる使節

657年（顕慶2年）には、王玄策は3度目の天竺行に赴きます。この時には多くの官職を歴任し、その経験を活かしてブリジを訪問するなど、さらなる外交活動を行いました。661年（龍朔元年）に帰国し、その後は左驍衛長史に任命されています。さらに、後の資料には4度目の天竺行があったとも記録されていますが、詳細は不明です。

文化的影響

王玄策の旅は、単なる外交の枠を超え、文化的な交流にもつながりました。いくつかの資料では、彼が第2回の天竺行の際に仏足石を唐に持ち帰ったとされています。この仏足石は、後に日本の薬師寺にも伝わりました。

同時代の人物との関連

同時期に活躍した玄奘三蔵は、王玄策の旅行と並行してインドへ向かっています。つまり、彼らは同時代の旅人同士であり、彼らの行動は中国とインドの文化交流に深い影響を与えたのです。

小説とマンガによる影響

近年では、田中芳樹の小説『天竺熱風録』において王玄策が主人公として描かれ、彼の冒険が文学作品として再解釈されています。この小説は史実に基づいていますが、詳細は想像によって表現されています。また、これを原作にした漫画作品も存在し、彼の名は現在でも広く知られています。

王玄策の生涯には、功績と謎が入り混じっており、その存在は唐代の外交において重要な役割を果たしました。

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