王郎

王郎について

王郎（おう ろう、? - 24年）は、中国の新代における著名な武将かつ政治家です。彼は冀州の趙国、特に邯鄲県という地域にルーツを持ち、新末から後漢初にかけて一時的な権力を握っていました。本名は王昌で、王郎という名は一般的に知られている名称です。文献『後漢書』では王郎の名前が広く扱われており、この記事でも便宜上この名称を使用します。

皇帝の落胤を名乗る

王郎のキャリアは、最初は占卜を行うことで始まります。彼は天文や暦法に詳しく、占いを通じて河北地方に皇帝としての資質が存在すると信じるようになりました。新王朝が樹立された時、長安で前漢の成帝から繋がる血筋である子輿を名乗った者が暗殺される事件が発生します。王郎はこの機会を踏まえ、自身が本物の子輿であると詐称し始めます。

ある日、王郎は古くからの友人である劉林に対し、自分こそが成帝の血を引く劉子輿であると語りました。彼は幼少期に蜀に隠れていたが、天運を感じて燕・趙へ戻ってきたと主張しました。劉林は王郎の言葉を信じ、趙の豪族である李育や張参らとともに、彼を皇帝として擁立する計画を立てることになります。

しかし、この時期には赤眉軍が北進してくるという噂もあり、当時の政治状況は緊迫していました。更始元年（23年）10月、劉秀（後の光武帝）が河北を平定するため邯鄲を訪れました。劉林は彼に赤眉軍に対する対抗策として堤防を切る提案をしますが、劉秀はこの提案には反応しませんでした。この後、劉林は最終的に王郎の擁立を決意しました。

王郎の即位

更始元年（23年）12月、劉林らは数百台の車騎を引き連れて邯鄲に進軍し、旧趙王の宮殿にて王郎を天子として即位させることに成功します。王郎は劉林を丞相、李育を大司馬、張参を大将軍に任命し、軍を派遣して冀州や幽州を制圧しました。また、民衆が漢に対する思慕の念を抱いていることを鑑み、翟義という忠臣が未だ死んでいないことを強調する詔を出し、人気を集めることに成功します。その結果、王郎は趙国以北や遼東以西に支配権を持つようになりました。さらに、劉秀に対して10万戸の懸賞金をかけ、彼を捕まえようと試みます。

王郎の最期

しかし、劉秀は更始2年（24年）の初期に、少数の兵を手に次第に拠点を広げていきました。彼には劉植や耿純らの支援があり、王郎には不利な状況が続いていきます。上谷太守の耿況や漁陽太守の彭寵が派遣した突騎によって、王郎の軍勢は完全に劣勢に追い込まれました。その後、王郎は河北の各地での戦闘で敗北を続け、同年4月にはついに邯鄲に追い詰められます。

王郎は、1万戸の列侯に封じられる条件で降伏を申し入れました。しかし、劉秀は「命が助かるならそれでよし」と応じ、交渉は決裂しました。同年5月27日、内通者による情報が流れ、邯鄲が陥落します。王郎は邯鄲からの脱出を試みますが、逃走中に命を落としました。

彼の歴史は短命でしたが、彼の政治的手腕や背後にあった状況についての研究は、今なお多くの人々によって注目されています。

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