珍島犬

珍島犬について

珍島犬（ちんとうけん）は、韓国の特有な犬種であり、歴史や文化的な背景を持つ生き物です。朝鮮語では「チンドッケ」と呼ばれ、英語では「Jindo dog」として知られています。1962年12月3日には、韓国の天然記念物第53号に認定されたことから、その保護が重要視されています。

起源と歴史

珍島犬の正確な起源についての記録は存在しませんが、少なくとも数世紀にわたり、朝鮮半島南西部の珍島に生息してきたことが分かっています。13世紀には、モンゴルの高麗侵攻に伴い、移住してきた軍の犬と、それ以前から珍島に住んでいた犬との交配によって生まれたと考えられています。高麗王は降伏しましたが、兵士たちの一部は珍島に留まり、そこで隔絶された環境に適応していきました。珍島における犬食文化の存在から、純血種が生き延びるのは極めてまれであり、この犬種は文字通り「奇跡の犬」とも言える存在です。

保護活動

1945年から1950年代にかけて、京城帝国大学の森為三が珍島を訪れた際、この犬が犬肉として利用されていることを指摘しました。彼は珍島犬の保護に尽力し、軍犬や猟犬、番犬としても活用されるべきだと訴えました。その結果、1940年代、1950年代にかけて数回にわたり保護法が制定されました。特に1952年には、李承晩大統領により珍島犬保護法が施行されました。

また、1980年代にはアメリカに移住する韓国の移民によって、複数の珍島犬が持ち込まれ、ただちに純血種として定着しました。また、2002年にはザ・ケネルクラブに登録するためにイギリスに送られ、遺伝子検査を経て2005年には正式に登録されています。

特徴

珍島犬は中型犬に分類され、その特徴的な外見が多くの人々に愛されています。耳は三角で小さく、目はアーモンド形で暗褐色をしています。尾はクルッと巻いていたり、半円形であったりします。被毛はダブルコートで、硬い長い毛と柔らかい短い毛の二重構造を持っています。毛色には赤、白、黒、黒褐色、狼灰、虎毛など、多様な色があります。

この犬種は、飼い主に非常に忠実ですが、他人に対しては警戒心が強い傾向があります。また、寒さにも強いことが特徴です。体高はオスで50～55cm、メスで45～50cm、体重はオスで18～23kg、メスで15～19kgです。飼育においては、適度な運動が必要であり、1日2回の運動が推奨されています。

珍島犬の文化的な意義

韓国では珍島犬が物語や諺などで言及されることが多く、その象徴的な存在として重視されています。また、国の安全保障上の観点からも珍島犬に関する特別な警報システムが設けられており、緊急時の伝達手段としても利用されています。

1990年代から2000年代にかけて、韓国のサッカー界で元代表監督の許丁茂が「珍島犬」という愛称で呼ばれたこともあり、珍島犬の名は広く知れ渡ることとなりました。

結論

珍島犬は、その独自の歴史や文化を背景に、韓国において大切にされています。過去の厳しい状況を乗り越えて生き延びてきたこの犬種は、自然環境の中で育まれた奇跡の存在であり、韓国人の誇りでもあります。

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