瑞麟

瑞麟（ずいりん、満洲語：ᡰᡠᡞᠯᡞᠨ、生年不詳 - 1874年）は、清朝末期の官僚であり、字を澄泉と称しました。満州正藍旗に属するイェヘナラ氏の出身です。

官僚としてのキャリアは、太常寺少卿、内閣学士、礼部侍郎といった役職を歴任することから始まりました。咸豊3年（1853年）には戸部侍郎に異動し、同時に軍機大臣上行走を兼任しました。当時、太平天国の北伐軍が北京を脅かしていた状況下で、瑞麟はホルチン郡王センゲリンチン（僧格林沁）に従い、独流鎮を攻略する作戦に参加しました。その後、太平天国軍が阜城を陥落させ、連鎮と山東省の高唐州に兵を分けた際には、咸豊5年（1855年）に連鎮を陥落させ、指揮官の林鳳祥を捕らえるという大きな功績を挙げました。この功績により、瑞麟はバトゥルの称号を授与され、西安将軍に任命されましたが、実際には就任せず、礼部尚書に任命され、鑲白旗蒙古都統を兼任しました。

アロー戦争中の咸豊8年（1858年）には、大沽砲台の修築を命じられ、北京に戻ると戸部尚書・文淵閣大学士に任命されました。咸豊10年（1860年）、勝保と共に通州の守備にあたっていましたが、イギリス・フランス軍に敗北し、免職となりました。その後、北京条約が締結されると、瑞麟は再びセンゲリンチンに従い、山東省で捻軍と戦いましたが、鉅野の羊山集で敗北したため、再び免職となりました。

咸豊11年（1861年）には鑲黄旗漢軍都統として復帰し、翌同治元年（1862年）には熱河都統に任命され、荒野の開墾を推進しました。同治2年（1863年）には広州将軍に任命され、同治4年（1865年）には両広総督代理を兼務しました。この時期には、太平天国の康王汪海洋が福建省から広東省への侵入を企てていましたが、瑞麟はこれを撃退し、閩浙総督左宗棠らと協力して汪海洋を包囲し、壊滅させることに成功しました。

同治5年（1866年）には、正式に両広総督に任命され、匪賊の鎮圧と広東艦隊の設立に尽力しました。同治10年（1871年）には再び文淵閣大学士に任命され、その生涯を終えました。死後、文荘の諡号が贈られました。

瑞麟は、清朝末期の動乱期において、軍事と行政の両面で優れた能力を発揮し、清朝の安定に貢献した人物として知られています。太平天国やアロー戦争、捻軍といった内外の危機に対応し、数々の戦いで勝利を収めました。また、地方行政においても、開墾や匪賊の鎮圧、艦隊の設立といった重要な政策を推進し、その手腕は高く評価されました。

出典：
『清史稿』巻388 列伝175

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