甘草湯

甘草湯（かんぞうとう）

甘草湯は、中国の古典医学書「傷寒論」に記載されている漢方方剤の一つです。通常、漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作られますが、甘草湯は甘草という生薬のみを単独で使用するのが特徴です。これは漢方薬としては珍しい処方と言えます。

作用と効果

甘草湯は、甘草に含まれるグリチルリチンという成分が、のどの粘膜を保護し、炎症を鎮める効果があります。そのため、主に以下の症状に用いられます。

のどの痛み
口内炎
激しい咳
しわがれ声

また、外用薬として痔や脱肛の痛みを和らげる目的で使用されることもあります。

服用について

甘草湯は、体質に関わらず比較的誰でも服用できるとされています。しかし、甘草にはナトリウムを保持し、カリウムを排出する作用があるため、まれに浮腫（むくみ）などの副作用が現れることがあります。特に、高齢者や腎機能が低下している人は注意が必要です。

慎重投与が必要な人

以下に該当する人は、甘草湯の服用に際して医師や薬剤師に相談する必要があります。

アルドステロン症の患者
ミオパチーのある患者
低カリウム血症の患者

相互作用

以下の薬剤と甘草湯を併用すると、血清カリウム値が低下する可能性があります。

フロセミド、エタクリン酸（ループ利尿薬）
サイアザイド系利尿薬

これらの薬剤を服用している場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

副作用

甘草湯の主な副作用として、以下のものが挙げられます。

偽アルドステロン症
ミオパチー

これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。

関連事項

グリチルリチン: 甘草の主要な薬効成分
炙甘草湯: 甘草を炙って用いる漢方薬。動悸、息切れなどに用いられる。
独参湯: 人参のみを配合した漢方薬。体力が著しく低下している状態に用いられる。
* 芍薬甘草湯: 芍薬と甘草を配合した漢方薬。こむら返りなどに用いられる。

甘草湯は、適切に使用すれば安全で効果的な漢方薬ですが、副作用のリスクも考慮する必要があります。服用に際しては、必ず医師または薬剤師の指示に従ってください。

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