生口

生口（せいこう）とは

生口とは、かつての中国や朝鮮半島において見られた、捕虜または奴隷を指す言葉です。特に、中国の史書や広開土王碑などにも記述が見られ、当時の社会情勢や国際関係を考察する上で重要なキーワードとなります。

概要

生口は「生きた口」と書き、元々は捕虜を意味する言葉でした。そのため、捕虜を起源とする奴隷的身分であると考えられています。しかし、その実態については様々な解釈が存在します。

献上品としての生口:
時代的に献上物が豊富でなかったため、生口が献上されたとする見方があります。しかし、単なる捕虜や奴隷ではなく、特定の技能を持った者を献上したとする説や、中国への留学生であったとする説も存在します。

倭国（日本）における生口:
倭国では、生口は奴婢とは異なる身分呼称とされていました。生口が直ちに奴隷とは解釈しがたいという意見もあり、「献上した」という表現も、奴隷の献上のみを意味するとは限らないという指摘もあります。

歴史的記録

『後漢書』:
107年、倭国王帥升らが後漢の安帝へ生口160人を献上したという記述があります。

広開土王碑:
396年、百済が高句麗に大敗したため、生口を高句麗へ献上したことが記されています。

『高麗史』:
1274年、文永の役で高麗に帰還した金方慶らが、日本人の子女を捕虜とし、高麗王と妃に生口として献上したという記録があります。

『魏志倭人伝』:
倭王卑弥呼が239年に魏の明帝へ男生口4人、女生口6人を、243年に魏の少帝へ生口を献上。後継者の台与も248年に生口30人を魏へ献上しています。

生口をめぐる議論

生口が奴婢と全く別の存在なのか、重複するのかについては、研究者の間で意見が分かれています。中国や朝鮮半島の史料に登場する「生口」という存在は、当時の社会構造や国際関係を複雑に反映していると言えるでしょう。

まとめ

生口は、単なる捕虜や奴隷として一括りにできない、多面的な意味合いを持つ言葉です。当時の国際関係や社会構造を理解する上で、重要なキーワードとなります。今後の研究によって、生口の実態がさらに明らかになることが期待されます。

関連項目

三国時代 (朝鮮半島)
倭・倭人関連の中国文献

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