田中光儀

田中光儀について

田中光儀（たなか みつよし）は、文政11年（1828年）に生まれ、明治19年（1886年）に没した、幕末から明治にかけて活躍した人物です。幼名は廉太郎といい、浦賀奉行所の与力として幕末の外交に携わった他、明治期には官吏や篤志家としても活動しました。

生涯

武蔵国で代官手代の息子として生まれた田中光儀は、嘉永4年（1851年）に浦賀奉行所の役人である田中信吾の養子となり、その跡を継ぎました。嘉永7年（1854年）のペリー来航時には、下田での交渉に尽力し、その功績から銀15枚を褒美として与えられた記録が残っています。

また、ペリーが二度目の来航をした際に、随行した写真家によって写真撮影が行われました。この時、田中光儀も浦賀奉行所の役人らと共に撮影されており、これらの写真は「日本に現存する最古の日本人の銀板写真」として貴重な資料となっています。

文久3年（1864年）には、第2回遣欧使節（横浜鎖港談判使節団）に勘定格調役として参加し、ヨーロッパを訪問しています。

明治維新後は、豊岡県（現在の京都府北部と兵庫県北部）の参事となり、地方行政に携わりました。その後の詳しい足跡は不明な点も多いですが、地方官吏として行政に携わると共に、社会福祉にも貢献した人物として知られています。

田中光儀の人物像

田中光儀は、幕末の激動期に外交官として活躍しただけでなく、明治維新後には地方官吏として地方行政の発展に尽力しました。その生涯は、激動の時代を駆け抜けた人物の姿を今に伝えます。また、現存する最古の日本人の写真に写っているという点でも、歴史的に重要な人物といえるでしょう。

参考文献

赤瀬浩『河津祐邦』長崎文献社、2017年
尾佐竹猛『幕末遣外使節物語』講談社学術文庫、1989年
尾佐竹猛『幕末遣外使節物語 夷狄の国へ』岩波文庫、2016年
戸森麻衣子『江戸幕府の御家人』東京堂出版、2021年
西川武臣『浦賀奉行所』有隣新書、2015年
西川武臣『ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間』中公新書、2016年
広瀬隆『文明開化は長崎から』下巻 集英社、2014年
『日本人物レファレンス事典 江戸時代の武士篇』日外アソシエーツ、2016年
今西一「帝国議会開設前夜の地租修正運動」『史林』第69巻第6号、1986年
前嶋雅光「明治前期の地方行政:豊岡県参事田中光儀を中心として」『児童教育学研究』第4巻、1985年

外部リンク

* 横浜鎖港使節・パリ万博使節他写真 - 国立国会図書館デジタルコレクション

もう一度検索