田部京子

田部 京子

日本の著名なピアニスト。1967年3月26日に北海道室蘭市で生まれ、現在は東京とドイツのベルリンを拠点に国際的な活動を展開しています。特にシューベルトの解釈には定評があり、「シューベルト弾き」としても知られています。

幼少期から才能開花

4歳でピアノを始め、田中希代子の指導を受ける機会を得ました。その後、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校に進学し、田村宏に師事。高校在学中の1984年には、第53回日本音楽コンクールで最年少ながら第1位に輝き、若き才能として音楽界の注目を集めました。

ドイツでの研鑽と国際舞台での飛躍

東京藝術大学へ進んだ後、1988年には文化庁の在外派遣研究員としてドイツに渡り、ベルリン芸術大学でクラウス・ヘルビッヒのもとで学びました。同大学および大学院を首席で卒業し、ドイツ国家演奏家資格を取得するなど、高いレベルの演奏技術と深い音楽理解を身につけました。ベルリン留学中には、数々の国際コンクールで目覚ましい成績を収めています。

エピナール国際ピアノコンクール 第1位
アルトゥル・シュナーベル・コンクール 第1位
* ミュンヘン国際音楽コンクール（ARD）第3位

これらの受賞により、国際的なピアニストとしての地位を確固たるものにしました。

国内外での精力的な演奏活動

1990年代初頭からは日本国内での演奏活動を本格化。全国各地でのリサイタルに加え、主要なオーケストラとの共演も数多くこなしています。現代作品への取り組みも意欲的で、作曲家、吉松隆の新作ピアノ協奏曲など、新曲の初演も手掛けてきました。また、世界的な室内楽団であるアルバン・ベルク弦楽四重奏団の日本ツアーにおいて、共演者として指名されるなど、室内楽の分野でも高い信頼を得ています。

豊かな録音と受賞歴

レコーディング活動も非常に活発に行っており、これまでに日本コロムビア（DENON）や英国のシャンドス（Chandos）レーベルから、合わせて20枚以上のCDがリリースされています。特に、2008年にカルミナ四重奏団、コントラバス奏者のペトル・イウガと共演したシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」とシューマンのピアノ五重奏曲の録音は、音楽之友社が主催する第48回レコード・アカデミー大賞の室内楽部門賞を受賞し、高く評価されました。このほかにも、音楽活動における功績に対して、村松賞（音楽部門大賞）や第4回日本製鉄音楽賞など、数々の栄誉ある賞を獲得しています。

後進の育成に尽力

演奏活動と並行して、音楽教育の分野でも重要な役割を担っています。過去には上野学園大学教授や日本音楽コンクール審査員、桐朋学園大学院特別招聘教授などを歴任。現在は、桐朋学園大学院大学の教授として、次世代の音楽家育成に情熱を注いでいます。その活動は、単なる技術指導にとどまらず、豊かな人間性と深い音楽性を持った演奏家の育成を目指しています。

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