由加神社本宮

由加神社本宮について

由加神社本宮は、岡山県倉敷市南部の児島にある由加山に位置する神社です。かつては県社でしたが、現在は神社本庁に属さない単立神社となっています。由加山は古くから磐座信仰の地であり、その歴史は非常に古いとされています。

歴史

天平5年（733年）に行基によって十一面観音が祀られ、その後、神社と仏閣が一体となった瑜伽大権現（由加大権現）と呼ばれる神仏習合の山となりました。また、由加山の北麓にある熊野神社の縁起によれば、奈良時代の初めに役行者の高弟たちが紀州熊野から熊野本宮大社を捧持してこの地に熊野神社を創建し、その後、新熊野三山の一つとして由加山に那智宮を開いたとされています。

江戸時代中期には備前藩主の池田氏が祈願所とし、正月、五月、九月には藩主自ら参拝していました。池田氏は、神社の社殿や蓮台寺の客殿を造営しています。

参道には土産物店などが並び、門前町を形成しており、特に初詣の時期には多くの参拝者で賑わいます。この門前町で売られている「あんころ餅」は由加山の名物として知られています。

明治時代に入ると、神仏分離令によって由加神社と蓮台寺に分離されました。しかし、第二次世界大戦後の国家神道解体後には、形式的には分離したものの、僧職が本殿で祈祷を行うなど、事実上明治以前の形態に戻り、蓮台寺によって一体的に運営されるようになりました。そのため、由加神社は宗教法人としての資格は保持していましたが、実質的には休眠状態に近い状態でした。

1997年、由加神社は一部の建物を占拠し、独自の宗教活動を開始しました。これにより、蓮台寺との対立が始まり、裁判沙汰にまで発展しましたが、この背景には、当時の蓮台寺住職と由加神社宮司の兄弟間の対立があったとされています。

また、江戸時代には、瑜伽大権現（瑜伽山蓮台寺）と讃岐国の金毘羅大権現（金光院松尾寺）の両方を参拝する「両参り」という慣習がありました。そのため、由加山南方の港町である田ノ口地区は、由加山の門前町としての役割も果たしていました。

祭神

由加神社本宮の主な祭神は以下の通りです。

彦狭知命（ひこさしりのみこと）
神直日神（かんなおびのかみ）
大権現（本地仏：阿弥陀如来、薬師如来）
手置帆負命（たおきほおいのみこと）
天之御中主神（あめのみなかぬしのかみ）
素盞鳴命（すさのおのみこと）
倉稲魂命（うかのみたまのみこと）
菅原道真公（すがわらのみちざねこう）
大綿津見命（おおわたつみのみこと）

文化財

本殿：江戸時代初期に建てられた建築で、岡山県指定重要文化財に指定されています。（1961年指定）

アクセス

車：瀬戸中央自動車道水島ICから約15分
タクシー：瀬戸大橋線児島駅から約15分
* バス：児島駅から下電バス由加山行きが運行されていますが、1日2往復で各便とも滞在時間が短く、土日祝日や正月三が日は運休のため、観光には利用しにくい状況です。

由加神社本宮は、その歴史的背景と美しい自然に囲まれた場所であり、多くの人々にとって心の拠り所となっています。

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